この本で解ける疑問は?
- いつも議論が発散して、結論にまで至らない…どうすれば?
- 議論が盛り上がらず、決まった結論も実行にまで至らない…どうすれば?
- まとまりかけた議論が、「そもそも論」でふりだしに…どうすれば?
『ファシリテーションの教科書』って?
本書は、グロービス経営大学院にて、数々のディスカッションをファシリテートされてきた方が書かれた本です。
経営大学院では、MBA取得を目指す学生(≒猛者)の方々による、激しいディスカッションが繰り広げられています。
そんな戦場ともいえそうな講義をファシリテートする。
おそらく、相当な技術が求められるはず。
…と、こんな思いで、本書を手に取ってみました。
数々の方法論が体系的に、「それ、あるある!」と共感できる具体例と共に、約200ページにまとめられています。
- ファシリテーションとは、腹落ちを生み出すコミュニケーション術のこと。大きく「仕込み」と「さばき」が求められる。
- 仕込みとは、あるべき議論の姿を設計すること。1)議論の「出発点」と「到達点」の明確にし、2)参加者の状況を把握し、3)問題解決のプロセスに沿った論点の洗い出しを行う。
- さばきとは、議論を活性化し、思考を導くこと。1)発言を引き出し、2)発言を理解して周知し、3)議論を方向付けて、4)結論づける。
さて、これを聞いて、「それだけ?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、僕は「そんなにあるのか…」とびっくりしてしまいました。
例えば、「さばき」だけを見てみても。
- 何を出発点・到達点と定義する?
到達点は、実行プランを決めること?提案書のアウトラインを確定させること? - 参加者は誰に参加してもらうべき?誰にどんな役割を担ってもらうべき?意思決定者は誰?根回しは必要?発言力が強い人は誰?独自の視点を加えてくれるアイデアマンは?
- 問題解決のプロセスか…解くべき問題はどうやって決める?
問題のある場所はどんな分析で特定する?
原因の深堀りはどんな形式で行う?インタビュー形式?いや、その前に仮説も出さないと…
やばい、まずは問題解決の本を読まないと…
…どうでしょう?
そう、ファシリテーションは、あらゆるスキルを「総動員」しないといけないのです。
すごく難しいですよね。
実践→本書を読み返す→反省→また実践
…このサイクルを何回も何回も回す必要があるのでしょう。
ファシリテーション。奥が深いスキルですね。
学び
このビジネス書を通して、次の学びを得ました。
ファシリテーション≠会議で自分の意見を押し通す場
冒頭に書いた疑問は、僕がコンサル新人時代に散々悩まされたものです。
それから苦労しつつも、色々と試行錯誤を重ねた結果、
- 議論のゴールとアジェンダを必ず示す
- 参加メンバーを、目的を持って絞り込む
- 質疑応答に備えておく
…こんな感じのルールを自分なりに導き出すことができました。
その結果、会議がスムーズに進むようになりました。
自分が思い描いていた結論を、高い確率で合意形成できるようになったのです。
めでたしめでたし。そう、当時は思っていました。
しかし、今思えば、すごく浅はかでした。
これだと、「自分の考え以上の答え」は手に入らない。
会議は、ただの「合意形成」の場ではありません。
会議前よりも質の高い答えが出来上がっている。
これこそが、会議、つまり複数人で対話する醍醐味だったはずです。
はい。御推察の通り、僕はファシリテーションの「仕込み」しかできていなかったのです。
「会議開いた割には、自分の意見を押し通したいだけじゃねえかよ」
…かつて思い描いていた嫌いな上司像そのものに、僕もなってしまっていました。
まあ、自分がイケていないことに気付けただけ、善しとしましょう。
まずは、「さばき」の中でも特に苦手意識がある、
- 発言を引き出す
- 発言を理解し、共有する
…この2点を重点的に鍛えようと思います。
明日から取れるアクション1つ
- 「自分だったら、どんな聞かれ方をしたら、発言したくなるか?」を書き出してみる