※図書館で読んだので、「一条真也のハートフル・ブログ」より表紙画像を引用させていただきました。
この本で解ける疑問は?
- なぜ人生において「選択」が大事なのか?
- なぜ我々は誤った判断をしてしまうのか?
- どうすれば、誤った判断を防げるか?
↓こちら文庫版リンク(記事の最後に、ハードカバー版リンクもございます)
『選択の科学』って?
こちら友人よりリクエストいただきましたので、張り切って読んでみました。
あれ、リクエストフォームなんてあったの?ペライチの要望出せるの?と疑問を抱かれた方はこちらの記事をご覧ください。
さて、本書ですが、私がいたコンサルティング会社でも「推薦図書」としてリストアップされておりました。
確かに、コンサルティングはクライアントに「選択してもらう」お仕事ですからね。
だからこそ、
人がどういうカラクリで意思決定しているのか?
を知っておかねばなりません。
※なお、本記事は「ハードカバー版のページ数」に沿って書いておりますので、文庫版のページ数とズレがございます。
ご注意ください。
-Why-なぜ書かれたのか?
筆者は、「選択」について研究した理由を次のように述べています。
わたしは自分の人生を、すでに定められたもの、両親の意向に沿ったものとして考えることもできた。また自分の失明と父の死に折り合いをつける一つの方法として、それを自分の意思を超えた、思いがけないできごとの重なりと見なすこともできた。しかし、自分の人生を「選択」という次元で、つまり自分に可能なこと、実現できることという次元でとらえた方が、はるかに明るい展望が開けるように思われたのだ。
多くの人が、選択という言語の文脈のなかでものごとを理解し、語ろうとする。
(中略)本書は、「選択」という文脈のなかで考えることの利点をつづろうと思う。(12ページ)
つまり、「自分の人生を明るくするための、"選択"という文脈で考える利点と方法を伝えること」が本書の目的といえます。
-What-なにをすべきか?
上述の目的を達成するためにも、「なぜ、選択が、人生を明るくするのか?」を考える必要があります。
なぜ「選択」が重要か?
この問いに対しては、本書に沿って、次のように答えることができます。
図1をご覧ください。
中でも興味深いのは、この方程式ですね。
人生=選択×偶然×運命
筆者はこれを「選択と偶然と運命の三元連立方程式」と題して、本書の「最終講」で説いています。
人生は、選択と偶然と運命の3つから成り立っている、というわけです。
あれ?先述の12ページの記述を振り返ってみましょう。
それぞれ、次のように解釈できますね。
-
わたしは自分の人生を、すでに定められたもの、両親の意向に沿ったものとして考えることもできた。
=運命 -
また自分の失明と父の死に折り合いをつける一つの方法として、それを自分の意思を超えた、思いがけないできごとの重なりと見なすこともできた。
=偶然 -
しかし、自分の人生を「選択」という次元で、つまり自分に可能なこと、実現できることという次元でとらえた方が、はるかに明るい展望が開けるように思われたのだ。
=選択
この文脈からも読み取れますが、唯一「選択」だけが自分の意思でコントロール可能なのです。
だからこそ、「選択」が人生において重要なのですね。
さて、こんなにも人生を舵取りにおいて重要な「選択」ですので、
当然「誤った選択」は避けたいところです。
そのためにも、「なぜ誤った判断をしてしまうのか?」は、避けては通れない論点です。
なぜ誤った判断をしてしまうのか?
この問いへの答えは、図2のように整理できます。
ざっくり言うと、次の2点の理由に要約できます。
- 「自動システム」と「熟慮システム」が導く答えが一致しないとき、人は葛藤する
- 選択肢が多すぎた場合、人間の情報処理能力が著しく低下する
まず、1について。
この理由をさらに紐解いていくと、次の要因に帰結します。
- 外部要因としての「誘惑」
- 内部要因としての「経験則」
自分の意思でコントロール可能なものは、内部要因の「経験則」です。
ところが、この「経験則」がやっかいなんですよね。
「経験則」を使えば「自分の頭であれこれ考える労力を節約できるから」です。
例えば、代表的な経験則として、次の4点が挙げられています。
- 想起しやすさ
- フレーミング
- 関連付け
- 確認(確証)バイアス
詳細は本書やGoogle先生に譲りますが、いずれも具体例を読んでみると、その厄介さが痛いほどわかります。
ただ、「こういうバイアスがあるんだ」と意識することから始めなさい、と筆者は言っています。
次に、2について。
これについては、『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』の荒木博行氏の図解がめちゃくちゃわかりやすいです。
図3をご覧ください。
写真は荒木氏のTwitterから拝借いたしました。
-How-どのようにすべきか?
では、上述の「誤った判断を招く要因」と、我々はどう向き合えばよいのでしょうか?
図4をご覧ください。
経験則バイアスからの護身術
まず、「経験則バイアス」から身を守る方法については、次の2点が挙げられています。
- 自分がなぜその選択に至ったのかを自問自答する
- 自分が有力視する選択肢について選択すべきでない理由を考えてみる
「ありきたりじゃないか」「もっと簡単な方法はないのか?」と怒号が飛んできそうです。
…が、近道はない、と心得るべきでしょう。
要は、ちゃんと考えろ、ってことですね。
人間は考える葦である以上、避けては通れません。
多すぎる選択肢問題の対処法
次に、多すぎる選択肢問題について。
これは次の4つが、対処法として述べられています。
- 選択が無条件の善でないことを肝に銘じる
- 専門知識を増やして、認知能力や許容量の限界を押し広げる
- 専門家の知恵を拝借する
- 選択を共同作業にする
…おや?4つ目はどういう意味でしょう?
筆者は次のように説明しています。
わたしたちが利用できるのは、専門家の知恵だけではない。集団の知恵も捨てたものではない。たとえばレストランガイドの『ザガットサーベイ』は、個人の批評家ではなく、一般のレストラン利用者の意見をもとに、レストランを評価する。またロングテールを活用するオンライン小売業者の成功のカギの一つは、カスタマー・レビューやお勧めリストにある。(255ページ)
なるほど、確かに「食べログ」のようなプラットフォームのおかげで、ランチやディナーの意思決定はかなり助けられていますよね。
「渋谷」と検索して、3000店舗ヒットしても、特に苦労せず選択できるのは、食べログを通して「選択を共同作業」にしているから、というわけですね。
以上のように、本書について駆け足で述べてきましたが、いかがでしたでしょうか?
最後に、「ペライチ」を図5に示しておきます。
本書の魅力は、約400ページにわたる「豊富な実験結果と事例」「シーク教の親のもとに生まれ、失明まで経験した原体験に基づく、独特な分析の切り口」です。
読んでみると、「良い選択だった」と言えるはずです。
学び
本ビジネス書を通して、次の学びを得ました。
まず「バイアス」に気づくことが大事
背伸びせずに、まずは、自分を雁字搦めにしている「バイアス」を目視することが大事、だと学びました。
本書で述べられていた「経験則」然り、『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』にあった「10の本能」然り、です。
★『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』が気になった方はこちら★
あなたのその常識、間違っています!『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』ハンス・ロスリング - BIZPERA(ビズペラ)-ビジネス書評はペライチで
これらの本が何百ページも割いて、「バイアスの正体」について語っているかというと、「我々が、バイアスに無神経すぎるから」だと思うんですね。
「自分はバイアスなく、フラットに見れる」
「自分はエリートで、その辺の奴らとは違う」
…という声に対して、
「いいえ、あなたにバイアスはありますし、その辺の奴らと同じなんです」
…と、強く訴えているんだと思います。
長くなりましたが、締めくくりは、最近おなじみの、
「自戒の意を込めて」。
明日から取れるアクション1つ
- おろそかにしている「自分が有力視する選択肢について選択すべきでない理由を考えてみる」をやってみる
↓こちらハードカバー版リンク