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【要約・書評】『生命科学的思考』高橋 祥子

この本で解ける疑問は?

  • 生命科学の原理原則とは何なのか?
  • 生命科学を知っておくと、物事の捉え方がどう変わるのか?
  • 生命科学を知ることで、より良い人生を送ることができるって本当?

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『生命科学的思考』とは?

本書を知ったきっかけは、次のツイートでした。

私が尊敬してやまない北野唯我さんがオススメされていたのを知って、即注文しちゃいました(笑)

自分が尊敬する方がどういったことにアンテナを立てているのか?

こういった視点で本を手に取ってみるのも面白いですね。

人と人との出会い同様、人と本の出会いも様々だと痛感させられます。

そんなこんなで巡り合うことができた『生命科学的思考』。

率直に申し上げると、最高に面白い本でした。

  • そもそも、生命科学について無知でした。なので、生命の仕組みや謎に対する理解がグッと深まりました
  • 生命科学を知っておくと、自分のエネルギーをどう扱えばよいか、主観と客観のバランスをどう取ればよいかがよくわかりました 

そんな本書の魅力に迫ってみます。

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

■生命科学的思考とは?

  • 生命科学的思考とは、生命の原理原則を客観的に理解したうえで、主観を活かす思考法のことである。

■生命の原理原則とは何か?

  • 生命は「個体として生き残り、種が反映するため」に行動する
  • 個体として生き残るのが先、種が反映するための行動が後
    個体として生き残る本能が強いため、視野が狭くなりがち
  • 生命の仕組みが不完全(病気になるなど)なのは外部の変化に適応するため
  • 多様性は生命最大の特徴。同じDNAの人は誰一人としていない

■具体的にどのように考えるべきか?(個人の生き方への応用)

  • はじめに「これを達成するまで絶対に迷わないし後悔しない」と決める。ただし、時間条件を区切ること(例:1年間はやり抜く)
  • カオス(不確実で理不尽)に身を置くと、「なぜ?」がたくさん生まれて、主観的命題や問題意識が芽生えやすい
  • 情熱=未来差分×行動の初速=(行動したとき-行動しなかったときの)×行動の初速
  • 努力をしないと、エネルギーの消費・代謝・摂取が行われず、外界の変化に耐えきれずに腐ってしまう(例:死んだ生命の肉は、常温だとすぐに腐ってしまう)

■具体的にどのように考えるべきか?(ビジネス・経営への応用)

  • 外界の変化に適応して生き延びる仕組みを持つ企業が強い
  • 多様性は「同質性」を土台にして初めて成立する
  • 失敗許容主義のもと、失敗も成功も含む累積探索量(=可能性を信じて挑戦した数)を増やすことが大事
  • 戦略・組織・理念という「時間軸」が異なる視点を併せ持つこと
  • 不確実性が高いとき「どういう手段でどの課題を解決し、どういう未来を実現したいか」という主観も含めたストーリーを持つ

いかがでしたでしょうか。

本書の全体像をお伝えしたかったので、エッセンスを絞ってご紹介しました。

ただ、本書の一番の魅力は、メッセージの裏側にある「生命科学のロジック」です。

「なぜ、多様性は同質性を土台に成り立っているのか?」

「なぜ、生命は失敗許容主義を貫いているのか?」

これらのロジックが美しく理路整然と、筆者の想いを込めて語られている。そのような魅力で溢れた一冊でした。

所感

生命科学を知ると、心のキャパシティが広がる?

本書を読んだ後すぐに効果が出たことが1つあります。

それは「心のキャパシティが少し広がったこと」です。

  • こっちがご飯を食べている最中にも関わらず、赤ちゃんが割り込みで泣き叫ぶ
  • 不安や怒りの感情をぶつけられる
  • 提案に対して抵抗されてる
  • 自分の発言がスルーされるとイラっとしてしまう

これらは全て、「生命が個体として生き残ろうとしているから」だと捉えると、目の前の事象1つひとつに対する納得度が高まりました。

例えば本書の以下の記述。

子どもがわがままなのは、視野を狭くし自分に集中することで個体として生き残ることに集中するためです。たとえば、仮に赤ちゃんが「ママも睡眠不足で大変だろうから授乳よりも睡眠を優先してください」などと言ってしまえば、赤ちゃんはすぐに死んでしまう可能性があります。子どもはまだ生物としての生存の可能性が高くないため、横取りしてまで食べ物を獲得する必要があるのです。

p31

この生命科学のロジックを押さえておくと、子どものどんな行動も許せてしまえそうです。

また、過去にイライラして苦しんだ「抵抗勢力たちの、"変わりたくない"という文句」も同様です。

「ああ、個体の生存が脅かされているから必死に抵抗しているんだな」と捉えれば、納得感があります。

…と、このように、生命科学のロジックを知っておくと、無駄なことに無駄な感情エネルギーを費やす必要がなくなり、集中すべきテーマに思考を集中できる。

これこそが、生命科学的思考の1つの大きな便益なんだなと思います。

新年早々、良い本と出会いました。

 


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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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