この本で解ける疑問は?
- 正直な話、「楽して、成果上げる」にはどうしたらいいの?残業せず、さっさと帰りたい。
- 枝葉のハウツー(ショートカットキーとかの話)ではなく、もっと「本質的」なコツはないのか?
- そもそも、仕事の「コツ」とは、どうやって掴めばいいのか?
- コンサルで働いていて「定時帰り」は実現できる?
『もっと早く、もっと楽しく、仕事の成果をあげる法』って?
-Why-なぜ書かれたのか?
本書は、次の文で始まっている。
世の中には、ハタから見ると、さして苦労していないのに仕事がうまくいっている人と、苦労してなんとか回している人、それから仕事ができない人がいる。
誰でも、できるなら最初のグループに入りたいと考えるのは当然だ。しかし、多くの本は、二番目のグループで生き残るための精神論や手法に終結したものが多い。(1ページ) 本書のタイトルからもわかる通り、上述の「ハタから見ると、さして苦労していないのに仕事がうまくいっている人」のノウハウを伝えることで、読み手に「仕事をもっと早く、楽しいものにしてもらうこと」が目的といえるでしょう。(1ページ)
しかし、そもそも、「誰もが参考にして、実践できるような」ノウハウが存在するのでしょうか?
-What-なにをすべきか?
仕事で早く楽して成果を出すためには、「仕事をコツで覚える」ことが重要だと、筆者は指摘しています。
では「コツ」で覚えるとはどういうことか?
筆者は「跳び箱」を例に挙げて、次のように説明しています。
ふつうの先生だと、たとえば「助走スピードが足りないから飛べないんだ。もっと遠く勢いをつけて走ってこい」とか「踏み切る位置はここだ、ここ!」などと、必要なポイントを一つひとつ挙げて教えるだろう。そして、その子ができないポイントを飛ぶごとに指摘しながら、ともかく何度か繰り返しやらせて飛べるようになるのを待つのが常だ。 (22ページ)
これを、筆者は「ダメな例」として挙げています。これは「コツ」ではありません。
やはり、跳び箱をうまく飛べるようになるのにも、それなりのコツがあった。
答えは、まず両腕で体重を支える感覚を覚えさせる、これに尽きるというのだ。
だから、何度も何度も実際に跳び箱を飛ばせる必要はない。一回やらせてみて飛べなかった子には、たとえば床の上で体重を支える感覚を教える。具体的には、床に座らせ、両脚のあいだに両手をつかせて、両腕で身体をちょっと浮かせてみろ、といえばいい。(23ページ)
これが、筆者がいう「コツ」の説明です。まずは、100個のハウツーを覚えるよりも、たった1個の「コツ」を覚えるのに集中せよ、ということなのでしょう。
では、日々の仕事の中で、この「コツ」をどうやって抽出すればいいのか?
この点を取り上げてみます。
-How-どのようにすべきか?
「コツ」で覚えるにあたり、筆者は次のようなヒントを提示してくれます。
「わかる」=「理解する」×「こなれる」(51ページ)
この「理解する」というのは、ビジネス書を読んで「ああ、こうすればいいのか」と理解した状態を指します。
しかし、この状態だと、まだ「わかる」状態とは乖離がありそうです。
重要なのは「こなれる」ところまでこだわることなのでしょう。
この「こなれる」ためには、「見本となる人を観察し、観察して自分なりの気づきを得て、実践を繰り返して血肉にすること」が重要なのだと解釈しました。
以上、本の触りをご紹介しましたが、こちらは第1章のほんの1部です。
本書は、次のような章立てで構成されており、いずれの章にも「コツ」の効用や、覚え方が平易な表現で述べられています。
第1章:アッという間に一流になれる仕事の学び方
第2章:戦略的思考が知恵を生む
第3章:人と決定的に差がつくうまい仕事のやり方
第4章:仕事を通じて実践力を身につけよ(6ページ)
特に、第1章で述べられている「プレゼンの極意」は、目から鱗が落ちました。
「コツで学ぶ」の具体例が示されており、著者が見つけ出した「プレゼンのコツ」も紹介されています。
100のビジネス書を読むよりも、この本をまず読んでみることをおすすめします。
学び
本書を通して、私自身次の2つの学びを得ました。
- 「早く60点を取る」ことにこだわって学ぶ
- 人に教えることによって「コツ」のレベルに昇華させる
1. 「早く60点を取る」ことにこだわって学ぶ
コンサル1年目のときに、よく「いきなり100点を狙うな、まずは60点を早く出すことにこだわれ」「いきなり完成品ではなく、まずはプロトタイプから」というアドバイスをいただきました。
いろんな本にも書かれていますよね。
これは私も大賛成です。
ですが「どうやって60点を早くだすか」がよくわかりませんでした。60点を出すのにも人並み以上に時間がかかってしまうのです。
そんなときに、「仕事 楽に 成果 コンサル」と検索したところ、本書に出会い、学びを得ました。
本書を読んでまず取り組んだのは、コンサル新人のライフワークを左右する課題「60点の資料を早く作るためのコツは何か?」です。
この課題を解くために、私が下記のことに取り組んでみました。
- 優秀な先輩数人に「一番自慢したい資料をください」と頼む
- それらの資料に共通すること3つ(=「コツ」らしきもの)を書き出す
→「理解する」 - 自分の資料にも試してみる
→「こなれる」
すると、開始して1カ月後には、致命的な指摘(=資料が白紙になり、徹夜で書き直し)もなくなりました。
他にも「会議のファシリテーション」「誰もよくわからないテクノロジー分野のリサーチ」「接待のときの立ち振る舞い」など、コツ化したいテーマはたくさんあります。引き続き、精進していこうと思います。
2. 人に教えることによって「コツ」のレベルに昇華させる
一方で、「コツ」らしきものを「自分が感覚的に身につけただけの状態」は、まだ「コツ」にできたとは言い難いと思います。
先述の跳び箱の例にもあったとおり、「再現性」あってこその「コツ」です。
そこで、「再現性」を出すために、次の取り組みを心掛けています。
- 「コツ」だと思ったことを、メモや資料に整理してみる
- 整理したメモや資料を使って、人に教えてみる
- 教えた相手もできるようになったか、確かめる
例えば、次の記事も、「資料作成のコツ」を自分なりに整理したものです。
www.biz-knowledge.com
ただ、まだ「教えた相手もできるようになったか、確かめる」部分が不十分なので、見てもらった人・教えた人からフィードバックをいただかねば、と思っています。
明日から取れるアクション1つ
- 日常の些細なことにも「コツ」らしきものを感じ取り、メモに残してみる。
※追伸
こちらの書籍も絶版とのうわさがございます。
今度、「絶版だけど名著シリーズ」でもやってみようかと思います。