番外編

「スジが良い問い」と「スジが悪い問い」を決めるのは何か?

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(出典:https://unsplash.com/photos/8xAA0f9yQnE


先日『問いこそが答えだ!』の紹介記事で、個人的な考察を書いてみたところ、意外と反響がありました。

その考察では、「スジが良い問い」と「スジが悪い問い」を分類してみたんですね。

"「スジが良い問い」と「スジが悪い問い」を決めるのは何か?"

この問いをもう少し詳しく議論してみたい。

…と、本題に入る前に、なぜこの記事を書こうと思ったのか、動機の部分を伝えさせてください。

そして、今からお伝えする動機に共感された方は、議論にお付き合いしてもらえると嬉しいです。

なぜこの記事を書こうと思ったか?

一言でいうと、「物理的にも精神的にも人を疲弊させるような、スジの悪い問いを減らしたい」からです。

例えば、どうでもいいような重箱の隅をつつくような質問に付き合っていると、物理的に時間をロスしてしまいます。

他方では、質問を「凶器」として、攻撃目的に使う人もいます。
質問ではなく詰問ですね。

こういった質問や問いかけを少しでもいいから減らしたい。

それがこの記事を書いたシンプルな理由です。

結論:「ワクワク度」×「具体度」が問いの質を決める

先に結論を書くと、「ワクワク度」と「具体度」の2軸で考えると、問いの良し悪しを判別できます。

問いの良し悪しを決める2つの軸

図で描くと、こんなイメージです。

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この図の通り、問いには4つの象限があります。

  1. 「イライラ×具体的」な問い
  2. 「イライラ×抽象的」な問い
  3. 「ワクワク×抽象的」な問い
  4. 「ワクワク×具体的」な問い

はっきり言って、1~3は「スジが悪い問い」です。

では、何をもって「スジが良い/悪い」と言っているのか。

スジが良い問いは「発想」を促す

人に何かを問われたとき、こんな気持ちを抱いたことはありませんか。

  • 今の問い、考えたことなかった…
  • なんだろう、答えを出さずにはいられない…
  • 深い…なんだか哲学的で面白い…

こんな気持ちにさせてくれる「発想せずにはいられなくする問い」こそが、スジが良い問いだと思うんです。

裏を返すと、次の特徴を持った問いは、スジが悪い問いです。

  • 全く発想を促さない
  • 問いを解く前と後とで、何の進歩もない

ではまず、スジが悪い問いから、議論を深堀ってみましょう。

①「イライラ×具体的」な問い

一言でいうと「重箱の隅を楊枝でほじくるようなクソ質問」です。

個人的にこの質問を見かけると、一番腹が立ちます。

だいぶ表現がキツイですが、それには2つ理由があります。

1つ目は、私のボキャブラリーの無さです(笑)

2つ目は、これくらい強い表現で書かないと、「スジの悪い問いかけはやめよう」と思ってもらえないからです。

この2点をご了承ください。

…脇道にそれたので、話を戻します。

 

「イライラ×具体的」な問いを、もう少し解像度を上げて議論してみます。

他人の時間を奪う質問

これは本当にやめたほうがいいですよね。

相手の限られた時間を奪ってはいけません。

「Googleで検索すればわかるような質問」が最たる例でしょう。

 

もちろん、ものすごく緊急の案件であれば、しょうがないと思いますが。

質問することが目的化した質問

個人的には、こっちの方が深刻だと思います。

これは「発言をしてバリューを出さなきゃ」という思いが空回りしたときに起こります。

例えば、新人のコンサル時代の私ですね(笑)

コンサルティングファームでは、年次関係なく、会議でバリューを出さなければならない。

何も発言をしないと、「空気扱い」されてしまいます。

当然、「空気扱い」されるのは耐えられないので、「何か発言しなきゃ」と思ってしまいます。

この気持ちが空回りすると、「質問や発言が目的化」してしまいます。

 

最初はむしろ、「発言や質問を目的化する」くらいの気概を持ったほうがいいと思います。

そうして発言や質問を繰り返して、議論をかき乱して失敗した経験を重ねることによって、「何が良い質問で、何が悪い質問か」がちょっとずつ掴めてくるのでしょう。

この「問いのカイゼン」を行わないと、いつまでたってもスジの悪い質問から抜け出すことができません。

②「イライラ×抽象的」な問い

次のツートップが該当します。

  • 「なんで?」
  • 「それで?」

この2つの質問は、本来は非常に効果的な質問です。

「なんで?」「それで?」…と何度も何度も問い直すことによって、思考を深くすることができます。

 

ですが、この2つの質問の使い方を誤ると、一気に「凶器」へと変貌します。

それは、使う目的を「攻撃」に変えたときです。

ただただ、相手を追い詰めるために「なんで?」と問うてしまうのは、もはや問いかけではなく「詰問」です。

こういった詰問は、相手の心をどんどん疲弊させてしまいます。

 

では、なぜこのような詰問が飛び交ってしまうのか。

「相手より優位に立ちたい」と思うマウンティング心が、詰問を生んでしまう。

…これが現段階での仮説です。

が、まだまだ深いところに真因が眠っていそうなので、引き続き議論が必要ですね。

③「ワクワク×抽象的」な問い

次のような問いかけが該当します。

  • ビジョンは?
  • 理念は?
  • あなたのやりたいことは?

決して悪い問いではないです。

むしろ凄く大事な問いだと思います。

人生を通して、向かい続けるべき問いでしょう。

 

しかし「発想を促すかどうか?」と問われると、答えはNoです。

この点では、スジが悪い問いだと思います。

私も「ビジョンは?」と聞かれても、「そんなの、答えられるなら、とっくに答えてるよ」と思ってしまいます。

使い方には注意が必要ですね。

ちなみに私は、「ワクワク×抽象的」な問いを、次のように使い分けています。

  • 事前課題として使う
  • 議論での問いかけには使わない

④「ワクワク×具体的」な問い

これが最も難易度が高く、かつスジが良い問いでしょう。

具体的だけど、すごく本質を突いた問い。

例えば、私がお世話になったMBAの講師が投げかけていた次の問いは、スジが良い問いなんだろうなと感じます。

「コロナは我々に何を問いかけているのか?」

 

あるいは、スティーブ・ジョブズの名言も良い問いですよね。

「もし今日が人生最後の日だとしたら、今日やることは本当にやりたいことなのか?」

 

今のところ、こうしたスジが良い問いの法則性は紐解けていません。

ですが、問いを磨く努力はできます。

最近になってですが、私も「問い日記」を作り始めました。

  • 自分が発した問いかけを、毎日箇条書きにする
  • 議論を活性化できた問いには〇をつける
  • 他の人が発した問いかけで、気に入ったものを書き足す

これをやると、「自分はどんな問いと向き合うとワクワクするのか?」がちょっとずつわかってきます。

 

…と、偉そうに書いてみましたが、いかがでしたでしょうか。

論の良し悪しは置いておいて、「人の時間を無駄にする、あるいは心を疲弊させる問いを無くしたい」という想いが少しでも共有できていれば、この上なく嬉しく思います。

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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