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【要約・書評】『分断を生むエジソン』北野 唯我

この本で解ける疑問は?

  • なぜ職場に「分断」が生まれるのか?
  • なぜリーダーは2度生まれるのか?
  • ビジネスにおける「ペイン型」と「ゲイン型」の違いは?

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『分断を生むエジソン』って?

待ちに待ったこの日が来ました。

1ヶ月前から予約していた『分断を生むエジソン』がついに届きました。

もう散々このブログでは述べてきましたが、著者の北野 唯我さんは私が最も好きな思想家の一人です。

広告代理店でマーケティングを通じて培われた「人間心理の洞察力」、戦略コンサルを通じて鍛え上げられた「圧倒的な論理思考」、そして現在の人材・組織系の領域で洗練された「ビジネスにおける人や組織の力学を見抜く力」。

これらの力が総動員された、まさに「名著」以外の表現が見当たらないビジネス書でした。

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

  • 我々が生きる世界は、支配力のルールから影響力のルールへと変わってきている。

    • 「他の選択肢を考える必要が無い状態を生み出す」方向性は、「"価値の広がり"に最大の目的を置く」方向へと移ろいだ

    • 「ペイン型」のサービスは「ゲイン型」のサービスへと変わった

    • 「物語」が多ければ多いほどよくなった

    • 「客観」の世界から「主観」の世界に移行した

  • 影響力のルール化では、4つの国が成り立っている。

  • 西の国は、人口比率が100と、最も希少な存在である。「技術と変化」「先進的・反体制」「未来の利益を最大化」…といった志向性を持つ。ただし、この国が病んでいくと、「分断を生むエジソン」が誕生する。このエジソンは、自らの「好奇心」で独りで突っ走ってしまい、皆を置き去りにしてしまう。そうすることで、周囲の国々と「分断」を生んでしまう。

  • 東の国は、人口比率が10と、2番目に多い存在である。「経営と雇用」「保守的・体制側」「現在の利益を最大化」…といった志向性を持つ。ただし、この国が病んでいくと、「魂なきバンカー」が誕生する。このバンカーは、「成長」を集団ではなく目的化してしまい、会社で働く人の心を必要以上に疲弊させてしまう。

  • 中部は、人口比率が2と、西の国に次いで希少な存在である。「法律と公益」「全体最適・体制側」「全体の公益を最大化」…といった志向性を持つ。ただし、この国が病んでいくと、「夢を忘れたピーターパン」が誕生する。このピーターパンにとっては、移ろう正義を追い続けることは過去の自分を否定することにつながる。その矛先は過去の自分だけでなく、仲間に向くこともある。

  • 南部は、人口比率が100と、最も多い存在である。「娯楽と生活」「保守的・中立」「幸せ・感情の最大化」…といった志向性を持つ。ただし、この国が病んでいくと、「才能を殺す巨大なスイミー」が誕生する。このスイミーは、思考停止したまま群れになって動き、時には天才を多数決で殺してしまうこともある。

  • しかし、一方で、これら4つの国々を「繋ぐもの」が5人存在する。

  • 1人目は、「公益を知るエリート」である。経済基盤を使って、経済的な利益を挙げ、ルールを作る側に回る人である。その際に、全体の調和も取ってくれる存在である。

  • 2人目は、「健全に怒る起業家」である。現状のサステイナビリティに疑いが表れたときに、リスクテイカーとなって発信する役割を持つ。

  • 3人目は、「パトロール騎士団」である。資本主義のルールでは守り切れない小さな安全や健康を守ってくれるリーダーである。

  • 4人目は、「家族主義の教養人」である。稼いだお金を教育や素養の充実に回し、国の民度や、経済の地場を安定させる。

  • 5人目は、「トレンドを加速させるインフルエンサー」である。西の国で生まれたイノベーティブなものにいち早く飛びつき、世に広める役割を持つ。

  • 影響力のルールの中生き残っているためには、「病める王」になるのではなく、「繋ぐもの」を目指していく必要がある。

いかがでしたでしょうか。

世の中を渦巻く「見えない力学」を見抜き、見抜いた本質を「自分事化しやすいよう物語形式」で表現する。

この筆者の力量を目にしたとき、言語化できないほど感極まるものがこみ上げてきました。

はっきり言って、一読しただけでは、この本が伝えたいエッセンスの全てを理解することができませんでした。

おそらく、人生で何度読んでも、違った学びがある。

それほど、素晴らしい本でした。

メルカリでは売らずに、本棚に大切に置いておきたいと思います。

 

また、同時に2冊出版されている『OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める』も非常にリッチなコンテンツです。

ご興味がある方は、こちらも是非ご覧ください。

学び

才能には責任が伴う

本書での一番の学びは「才能には責任が伴う」ということです。

折角の才能も、一歩間違えば人を傷つける「ナイフ」になりかねません。

天才詐欺師やハッカーなどが、才能を誤って用いた例でしょう。

 

この「才能に伴う責任」は我々の身近なところに存在すると思います。

例えば、論理的に考えることに少しでも長けていること。これも才能の一つですね。

この論理的思考を、「相手を論破するため」に使うと、どうなるでしょうか?

ディベートでもない限り、決して良い結果は生まれないでしょう。

 

一方で、直感力に少しでも長けている人も同様です。

「なんとなく、そう思ったんだよね」とだけ語り、十分な説明をする努力を怠るとどうなるでしょうか?

これも、話相手との間に「断絶」を生むきっかけになるかもしれません。

 

こんな風に、「才能」の使い方をちょっとでも間違えると、周囲と自分を分断してしまう危険性があります。

才能を「分断」ではなく「繋ぐ」ことに使う。

言葉にすると簡単ですが、相当難しいテーマを与えられた気がします。

明日から取れるアクション1つ

  • 才能で分断を生まないためにも、まずは「自分の才能とは何か?」を仮説でもいいので書き出してみる

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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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