この本で解ける疑問は?
- 良いコンサルと悪いコンサルを見分けるためには?
- そもそもコンサルに頼る意味ある?
- コンサルとして結果を出すために、常に考えておくべき論点は?
『いたいコンサル すごいコンサル 究極の参謀を見抜く「10の質問」』って?
-Why-なぜ書かれたのか?
「はじめに」の部分で、筆者は次のような想いを語っている。
本書を通じ、コンサルタントを起用する方々が賢くなり、結果を出せる確かな腕を持つ「本物」のコンサルタントを見抜き、大きな財務的成果を出すためにうまく使っていただけることを願っている。
(中略)
現役のコンサルタントの方々においては、今後はクライアントとのやりとりの中で、本書で述べるような厳しい質問を浴びせられることを覚悟の上、しっかりとプロフェショナルとして、それに対峙すべく日々の仕事に臨んでいただきたい。自身のコンサルティングスキルを、一歩引いた視点で客観視し、プロとして求められる品質水準を知り、一層の自己研鑽をしていただけるとありがたい。(7ページ)
本書の読み手として、コンサルを使う側と、コンサル側の両方が想定されています。
上述の「はじめに」を読むに、それぞれの読み手に対して、
- コンサルを使う側には、「本物のコンサルを見抜くことで、余計な外注費を損なうことなく、成果を出すための術を伝授すること」
- コンサル側には、「本物のコンサルとしてクライアントに価値を発揮するにあたり、向き合うべき問いと姿勢のハードルの高さを認識させること」
…が本書が書かれた目的と読み取れます。
-What-なにをすべきか?
コンサルを使う側が「本物のコンサル」を見分けるために、またコンサルが「本物のコンサル」になるにあたり、筆者は次の10の質問を提示しています。
質問1「わが社の属する業界の歴史と構造変化をどう見ていますか?」
質問2「今回お願いするプロフェクトの最終提言の仮説は何ですか?」
質問3「わが社の中期経営計画の鍵となる施策とその利益効果の根拠は何ですか?」
質問4「わが社が競合に勝つために取るべき最も重要なアクションは何ですか?」
質問5「わが社の周辺事業への展開についてどうお考えですか?」
質問6「現在のわが社の戦略で誤っている点、見逃している点は何ですか?」
質問7「わが社の『意思決定プロセスの特徴』をどう見ていますか?」
質問8「今回のプロジェクトは成功報酬でお支払いしてもよろしいでしょうか?」
質問9「過去のプロジェクトで最長のもの、最大の効果を出したものは何ですか?」
質問10「今回のプロジェクトにあなた(パートナー)自身は、どれだけの時間を使ってもらえますか?」(3ページ)
これらの質問にクリアに答えられるかどうかが、良いコンサルとそうでないコンサルを見分けるポイントとのことです。
ちなみに、私も質問2くらいしかまともに考えたことが無かったので、この本を読んでゾッとしました。
本ブログの「エセ外資系コンサル」という題名は、まさに本書の存在を意識してつけたものです。
いつか、この「10の質問」に明確に答えを出せるようになったとき、"エセ"の部分を取り除こうと思います。
-How-どのようにすべきか?
今回は、質問2について見てみます。
まず、コンサル側は、この質問に対して、「7割がた正解」の答えを示す必要があります。
コンサル業界では「Day1仮説」とも呼び、「プロジェクト開始1日目から、仮説を持って取り組む姿勢」を示しています。
例えば、A社に対して成長戦略の提案をしないといけないときは、
- A社のこれまで実績の振り返り
- 今後予想される市場の変化とA社にとっての意味合い
- 今後予想される市場の変化に対する施策
- 施策によって見込まれる効果
- 施策実行においての鍵
…のような項目をA4一枚にまとめるイメージです。
逆に、コンサルを使う側は、これらの「Day1仮説」について、
- 一般論に終始していないか
- 他の業界や企業にも当てはまるような内容ではないか
- 事実の羅列に終わっていないか
…といった厳しい視点で評価する必要があります。
なぜならば、コンサルから提案された内容は、最終的に自社で実行しなければならないため、「本当に実行できるか、効果はあるのか」が担保できないと、「外注費のムダ」になってしまうからです。
学び
私はこのビジネス書を読んで、次のような感想を持ちました。
-
言っていることはわかるが、おそらく経験を一定以上積まないことには、ほとんどの質問には答えられないだろう
(というか、質問8~9は、役員クラスじゃないと答えられない…) -
しかし、質問2の内容くらいは、経験なんて言い訳にはならず、誰でも答えられるようにしておく必要がある
特に2.について。
おそらく経験が浅いうちには、「7割がた正解」どころか「4割程度」の確度を担保するのも困難でしょう。
やはり、「7割がた正解」にするためには、業界や企業の特性を深く盛り込まないといけません。そうした特性の理解は「経験」に左右される割合が大きい。
とはいえ、「答えを出し切る」クセをつけておいたほうが、「答えが全くない状態」と比較して、断然スピード感が違います。
というのは、「答えらしきもの」があった方が、議論が進めやすいですし、アドバイスがもらいやすいからです。
なので、本書を読んで、どんなテーマにおいても先に「目次と答え」を自分なりに書き出すクセがつきました。
例えば、以前「資料作りのコツ」をご紹介しましたが、その資料を作る際にも、まず何よりも先に、下図のような「目次と答え」を作りました。
「資料作りのコツは?」という問いに対する「Day1仮説」のようなものです。
こうした「目次と答え」を先に作ってしまうと、作業スピードが段違いに早くなりました。
ざっくりでも、こうした「Day1仮説」があると、議論がしやすく、意見収集や修正が早くできるからです。
※資料作りのコツについて気になった方はこちら
明日から取れるアクション1つ
- 1週間に1つ、新聞で見た好きなテーマに対して、「Day1仮説」を作ってみる