この本で解ける疑問は?
- 「学びたいけど続かない問題」に決着をつけるには?
- 勉強が昔から苦手な私でも平気?
- 「知ったかぶり」の一歩先に行くためには?
『Learn Better』って?
「〇〇ってご存知ですか?」
「雰囲気は理解してます」
…こんなやりとり、聞いていて滑稽ですよね。
そうです。「知りません。何ですかそれ?」と言えない、知ったかぶり病です。
この「雰囲気は理解しています」は、かつて私が新人コンサル時代に、調子に乗って使っていた言葉です。
でもこの言葉の裏側には、こんな背景があるわけです。
- 以前から繰り返し聞いたことのあるキーワードである
- 自分でもネットで検索して「3分でわかる〇〇」のような記事を読んだことがある
- 書店でも立ち読みしたことがある
…そう、決して「全然知らない」わけではないし、知る努力をしたこともある分、中途半端なプライドが芽生えているわけです。
この中途半端なプライドが、「知ったかぶり病」を引き起こしています。
でもこれは正直、格好悪い。
そんな思いから、このブログを書いて、「学びの血肉化」に努めて参りました。
しかし…
- 本当にこの学び方で大丈夫なのか?
- もっといい学び方はないのか?
こんな疑問を日々抱いていた中、偶然書店で出会ったのが、この本でした。
-Why-なぜ書かれたのか?
本書の「イントロダクション」には、次のように述べられている。
本書はよくある「アメリカの教育システムのここがおかしい」と指摘する研究書ではない。その類の政策提言はもう十分に世に出ている。それよりも、私は学習プロセスについてあらましを述べ、どうすれば最も上手に学べるかを説明したい。本書ではこれから、学習という概念をつぶさに解説し、研究からわかった普遍的な知識習得の手法を説明する。(27ページ)
つまり、「普遍的で効果的な学び方を解説すること」が本書の目的です。
-What-なにをすべきか?
では、「普遍的で効果的な学び方」とはいったい何なのでしょうか?
その答えを、図1の「ペライチ」に要約してみます。
※個人的に特に印象的だった(=知らなかったor暗黙知だった)事項は、赤字にしております。
著者によると、「学び」には体系的なアプローチがあるようです。
それが、図1にも示しているような、次のアプローチです。
- 価値を見いだす
- 目標を決める
- 能力を伸ばす
- 発展させる
- 関係づける
- 再考する
今回はその中でも、「学びはじめ」にあたる1と2について、詳しく見てみます。
-How-どのようにすべきか?
1. 価値を見いだす
「ここ大事です。覚えておくように」
「いずれ必要になるから」
かつて一度は聞いたことがある、この有難い御言葉。
この言葉を聞いて、皆さんは「学ぶ気」になれますでしょうか?
「なれません」と即答するはずです。
それはなぜか?
その答えは、次の方程式を見るとわかります。
その方程式とは、モチベーション=コスト(タスクを完了させるのに必要な努力の量)+期待感(自己効力感の概念、これについては次章で取り上げる)+価値あるいは意味の感覚。バロンによれば最後の変数が時として最も重要であり、それは「自分はこのタスクをやりたいのだろうか?」という問題だ。(38ページ)
ここでいうモチベーションの方程式のどの要素にも、先述の有難い御言葉が響く余地はありません。
では、どうすれば「学ぶ気」になれるのか?
答えは、「自分との関連性を探す」ことです。
どういうことか?
本書では、この「自分との関連性を探す」ことの重要性を示す実験について、次のように記されていました。
教え子たちにとって、統計学はつまらない、つまり、自分の生活には何の関連性も価値もない、苦痛で退屈なトピックに見えるのだ。
(中略)
フルマンと共同研究者たちは、学生たちにデータツールの価値を見いださせる狙いで、学生たちに次のようなお題を出した。自分の生活で統計学を使うシーンを想像できますか?看護師、営業マン、管理職という職業に就いて統計学を使う自分を想像できますか?学生たちはノート1~2ページほどの短いエッセイを書いた。
成果は歴然としていた。自分の生活と統計学の関わりを意識することで、学生たちの勉強へのモチベーションが大幅に上がった、成績がC平均からB平均へと一段階上がった学生もいた。要するに、統計学が自分の将来の職業、趣味、いつか築く家庭にとってなぜ大事かを説明する行為によって、学習のレベルが一足飛びに向上したのである。(37ページ)
自分を「学ぶ気」にさせるためには、この「自分との関連性探し」が近道のようです。
2. 目標を決める
次に目標の話。
目標については、以前『ザ・コーチ』の記事でも紹介しましたね。
また、『ザ・コーチ』を読んだ【実践編】の記事でも、「SMART」という目標設定のフレームワークもご紹介しました。
★目標設定のフレームワークについてはこちら★
このフレームワークの中の「Achievable(達成可能)」について、本書『Learn Better』は興味深い示唆を与えてくれます。
それが、次の文章です。
しかし学びがあるのは、楽々とできる範囲から少しだけ背伸びできたときだ。学ぶためには知識を発展させなければならないが、学びの効果が最も高いのはまだ理解していないものの中で最もやさしい題材を学ぶときである。(102ページ)
よく「120%の努力で達成できそうな目標を設定しろ」なんて言葉を聞きますよね。
その具体的な方法の1つが、「まだ理解していないものの中で最もやさしい題材を学ぶ」ということです。
いかがでしたでしょうか?
本書は、アメリカの書籍っぽく、豊富な具体例と実験結果と共に、「学び方」について学ぶことができます。
約400ページの渡る分量ですが、和訳された本の中では、とても読みやすい文章で書かれています。
「学びは最高のエンターテイメント」という言葉もあるくらい、学びには底知れぬ面白さがあります。
是非、その面白さと際限の無さを体感してみてください。
学び
本ビジネス書を通して、次の学びを得ました。
書評ブログは学びのプロセスそのもの?
本書を学びのアプローチを読みながら、「書評ブログは学びのプロセスそのものでは?」と感じました。
例えば、「価値を見いだす」については、鍛えたいビジネススキルと関連付けて、ブログ化する本を選定しています。
★ビジネススキルの体系図はこちら★
また、「関連づける」については、書籍の学びをなるべく「ペライチ」にツリー状やプロセスで要約しています。
★「ペライチ」って?と思われた方はこちら★
手前味噌な内容になってしまい恐縮ですが、言いたいことはそういうことではなく…
「日々の課題感と関連する本を読む→自問自答しながら、体系がわかる形で整理する→他者に対しても発信して反応をもらう」…という一連の流れは、学び方の一つの在り方だということです。
「学びという無形資産」の構築にあたって、「書評ブログ」は最適な手法の一つなのかもしれませんね。
本当にそうなのか?最適な学びの在り方は他に無いのか?
…僕にとっては「時間を忘れて向き合える問い」です。
これからも、この問いを楽しく解いていこうと思います。
明日から取れるアクション1つ
- 「学び方シリーズ」として、次は『働く大人のための「学び」の教科書』を読んでみる