この本で解ける疑問は?
- 「古典は原著を読まないと意味がない」…これって本当?
- 解説書やマンガ版を読むのは恥ずかしいこと?
- くどいけどもう一回聞きます。本は全部読むべき?
『理科系の読書術』って?
最近は「読書術」をテーマに本を読み漁っています。
当たり前ですが、読書術に「正解」はありません。
本によっては「真逆」のことを言っているものもあります。
「本は全部読むべき」「本は全部読まなくてよい」などの主張がわかりやすい例です。
時には真逆の主張に触れながら、「これは感覚的に、ピンとくる/ピンとこない」という自分なりのアンテナを作っていく作業。
実はこの作業の繰り返しに、「価値判断の軸」を明確にしていくヒントがあるのではないでしょうか?
今回は「初心者にとっての読書術とは?」というテーマで、良書を発見したので、ご紹介します。
「自分なりの読書の軸」が1つでも見つかると幸いです。
-Why-なぜ書かれたのか?
本書の「はじめに」には、次のように述べられています。
世間には読書術に関する本が溢れている。硬軟とり交ぜていろいろなものがあるが、本書の方針を冒頭で述べておこう。この本は「読書があまり得意ではない」人に向けた読書術である。(iページ)
(中略)
本書では、本がなかなか読めないと嘆く人に、現状を変える方法を伝授する。タイトルにある「理科系」とは、国語や歴史が不得意だった私が、理系人の代表として、必要に迫られて獲得した読書のノウハウを開示したことによる。ここには、苦労した人ほど初心者に役に立つ技術を教えられる、という意味を込めたつもりだ。すなわり、読書が苦手な人のために、読む技術の「基礎の基礎の基礎」を伝授する入門書である。(iiページ)
つまり「読書が苦手な人向けの読書術を伝授すること」が本書の目的です。
-What-なにをすべきか?
では、読書が苦手な人向けの読書術とはいったい何なのでしょうか?
これを述べるには、「なぜ、読書を苦行だと感じるのか?」という問いと向き合う必要があります。
筆者は、「心のバリア」というキーワードを用いて、その理由を紐解いています。
「心のバリア」と「バリアの解き方」を「ペライチ」に整理したものを図1に示します。
本書を読んでいくと、心のバリアとして、次のものが挙げられていました。
- 古典を読む際は、原典に当たらなければならない
- 原典を読む前に解説書を読むのは恥ずかしい
- そもそも、本を読む時間がない
- 本を読んで理解できないのは、自分の頭が悪いから
- 買った本は全部、最初から最後まで読まなければならない
- 本をたくさん、何冊も、速く読むほうが偉い
どれも、心当たりがあるものばかりです。
特に、小学校~高校までで、国語の点数が悪かった人は「本を読んで理解できないのは、自分の頭が悪いから」という思い込みが刷り込まれているのではないでしょうか?
この思い込みを解く方法として、筆者は「2:7:1の法則」を教えてくれます。
-How-どのようにすべきか?
「2:7:1の法則」とはどういう意味でしょうか?
筆者は次のように述べています。
人間関係のコツに「2:7:1の法則」というものがある。自分とつきあいのある1人を考えてみよう。そのうち2人は何を話しても許され、けんかしても仲直りできる人間関係がある。自分と考えや趣味が非常に近い人であり、親友と言ってもよい。
次の7人は、失礼なことを言ったら人間関係が崩れるが、礼節をわきまえて丁寧につきあえば何の問題もない。
(中略)
さて最後の1人は、こちらがどんなに真摯に対応してもうまくいかない人である。(29ページ)
(中略)
どうやらこれは、人間関係における法則のようです。
筆者はこれを、読書にも当てはめています。
こうした「2:7:1の法則」を読書にも応用するのである。世のなかで2割の書物とめぐりあえれば、それだけで人生の幸福への切符を手に入れたことになると言えよう。2割の書籍は一生の伴侶にもなる。
(中略)
次の7割は、丁寧に取り組めばそれなりのよいものを自分に与えてくれるような本である。
(中略)
さて、最後の1割の本は、どうやってもご縁のない本である。人間関係と同様に、そうした本は存在するものなのだ。どんなに世評が高くとも、尊敬する先生から薦められようとも、合わない本を読むのは苦痛以外の何ものでもない。(30ページ)
確かに、「何度読んでも理解できない本」なんかはつい、「自分の頭が悪いからダメなんだ」と思いがちです。
ですが、人間関係と同じように「何度真摯に向き合っても、分かり合えない本」だと割り切ることも大事です。
「自分が頭が悪い」ではなく「そういう本は一定数あるものだ」と思うようにすると、本に対する心のバリアが解けてきますね。
学び
本ビジネス書を通して、次の学びを得ました。
「自分にとって正しいか?」は実践してみないとわからない
本書を含め、読書術の本は3冊紹介してきました。
例えば、『読書を仕事につなげる技術』では「本は全て読む必要はない」というメッセージが述べられていました。
今回紹介した『理科系の読書術』と同じですね。
一方、『できる人の読書術』では「読み飛ばしが多くて歯抜けのような状態では、本当に読んだとは言えない」と述べられていたように、逆のスタンスを取っています。
ここで、「結局、本は全部読むべき?読まなくていい?どっち?」と思考停止すると、もったいないです。
この問いの答えは、読み手の数だけ存在します。
- 本は全部読むべき
- 本は全部読まなくてよい
- 〇〇のときは全部読むべきだけど、△△のときは全部読まなくていい
…という風に無数に答えがあります。
では、どうすれば「自分にとっての答え」がわかるかというと、自分でやってみるしかありません。
悩む前に、自分でやってみる。
そして、直感的に「どっちがピンとくるか」を体感した方が楽です。
時には「あれ?前回は全部読まなくて大丈夫だったけど、今回は全部読まないとわかんないぞ?」と思うときもあります。
そんなときは、「全部読んだ方がいい場合と、全部読まなくてもいい場合の違いは?」というテーマで、感じたことを書き出してみると、思考が前に進みます。
個人的に大事だと思うのは「直感的に」「感じたことを」というキーワードです。
別に他人に見せるものでもないので、適当に感じるまま試してみて、「気づいたら、自分にとっての読書術が確立されてた!」くらいの気楽さが丁度いいのかもしれません。
明日から取れるアクション1つ
- 「2:7:1の法則」の「2割の本」をピックアップしてみる