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【要約・書評】『シン・ニホン』安宅 和人

この本で解ける疑問は?

  • 現在の世の中の変化をどう見たらいいのか?
  • 日本の現状をどう考えるべきか?
  • AI時代の人材育成は何が課題で、どう考えたらいいのか?


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『シン・ニホン』って?

待ちに待った待望の書籍が、ついに家に届いたのは5日前。

そこから読み解いて、このブログに書くまで、他の本の5倍の時間がかかりました。

それくらい、咀嚼して言語化するまでに時間がかかりました。

 

しかしこれ、題名に【1枚でわからない!?】と書いている通り、私の力量では、著者の安宅 和人氏の思考回路を全て読み解き、1枚の紙に要約することができませんでした。

おそらく、安宅氏の頭の中には、本書『シン・ニホン』のストーリーが全て1本の筋で繋がっているんだと思います。

もう何度か読み直してみて、かつ本書でいう知的経験や人的経験を積んで、安宅氏と同じ景色を見れるよう精進したいと強く感じました。

…前置きが長くなりましたね。

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(画像をクリックすると、PDFが開きます)

  • 時代の全体観と変化の本質として、次のポイントが挙げられる。
    • 多面的に不連続な局面…データ×AI、ものづくり、経済重心のシフト
    • すべての世界がデジタル×AI化する
    • 変化は想定以上に速い
    • スケールよりも刷新、創造が重要
    • 未来=課題×技術×デザインである…技術だけではダメ
  • 以上の変化のポイントと照らして日本の現状を眺めてみると、下記の状況が見受けられる。 
    • 才能と情熱の多くが解き放たれていない
    • 大半御産業分野で大きな伸びしろ
    • R&D的には片翼飛行状態
    • データ×AIの3条件(データ、処理力、人材)で大敗
  • 以上の状況に鑑みたときの日本の勝ち筋は… 
    • AI×データの第二の波(データ×AI化の二次的応用)と第三の波(あらゆるものや産業が繋がるエコシステム)で勝負をかける必要がある
    • 勝負をかけるためにも、まずは「AI-Ready化(AIを語る以前の課題をクリアする)」を進めるべき
    • AI-Ready化を進めるにあたり、「人づくり」と「リソース配分」の二大課題のクリアが必要
  • 「人づくり」に向けて、この面白い時代局面で価値を生み出せる人を生み出していく。
    • 「異人」がカギを握る
      - あまり多くの人が目指さない領域のいくつかでヤバい人
      - 夢を描き、複数の領域を繋いで形にする人
      - どんな話題でもそれぞれ自分が頼れる凄い人を知っている人
    • ただし、人としての魅力は忘れないようにすべき
      ⇒運×根×勘×チャーム
  • 「人づくり」に向けて、他には、多面的な人材をAI-Ready化させる必要がある。 
    • AI×データを解き放つためのスキルを手に入れる
      ⇒ビジネス×データサイエンス×データエンジニアリング
    • 生々しい知的/人的経験をベースに「知見」し判断/伝達する力が大事
  • 「リソース配分」の観点では、次の8つの施策に取り組むべき。この施策によって浮いたお金を、「人づくり」のための教育に投じる。
    • 調達を見直す
    • あらゆるコスト前提、必要前提を疑う
    • データドリブンで発生コストを解析して打ち手を打つ
    • 松竹梅化の視点をさまざまなものに導入する
    • 自動化できるものは片っ端から自動化する
    • 煩雑なプロセスを見直し、コアプロセスを再整理する
    • 治療・ケア以前にできる限り予防する
    • 都市以外、特に過疎地域のインフラコストを劇的に下げる

いかがでしたでしょうか。

私なりに、今伝えられるだけの『シン・ニホン』の魅了を伝えきったつもりです。

ですが、ここでお伝えした魅力は、この本の本の一部です。

他にも、

  • 安宅氏が考える未来の姿や「風の国」の構想
  • 100を超える図表やデータ
  • 曖昧な言い方をせずに言い切るだけのファクトとロジック

…など、伝えきれていない魅力がたくさんあります。

この本を片手にお酒を呑みたい。それくらい語り甲斐のある本でした。

久しぶりに本を読んで感動しました。

学び

『イシューからはじめよ』の実践版としての『シン・ニホン』

この本を読んでみて一番最初に抱いた感想はこれでした。

イシューからはじめよ』で語られているメソッドを、安宅氏がフル活用して実践していったものが、『シン・ニホン』なんだと。

 

イシューからはじめよ』で語られている課題解決の手法は、読み解くのは簡単、されども実践は非常に難しいものでした。

とにかく、習熟に数年、いや一生を要する技術です。

しかし、この技術を磨きに磨き上げた先には、『シン・ニホン』のような世界を描けるようになるのだと痛感しました。

「アート思考だ」「デザイン思考だ」と色々と騒がれていますが、起点となるのはやはり「イシュー=一番最初に白黒つけるべき論点」なんだと改めて振り返ることができました。

 

「自分なりのシン・ニホン」を描いて奮闘できるようになるためにも、しっかりと己の思考力を磨こうと思えました。

週明け前の休日に、良い読書ができました。


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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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