この本で解ける疑問は?
- 経営者・従業員・株主を幸せにできる経営手法とは?
- 売上や利益率よりも重要な指標とは?
『三位一体の経営』って?
昨年からMBAを学んでいるわけですが…
「MBAを学んだ良かったことは何ですか?」と聞かれたら、こう答えてしまうかもしれません。
「この本をより深く理解できたことです」と。
それくらい、この『三位一体の経営』は示唆に富む本でした。
- ROA、ROE、ROIC、WACC
- 企業価値
- 事業経済性
…こういったワードで、経営という「化け物」の正体を明らかにしていく。
しかも、投資家視点と経営者視点の両方で描かれている稀有な本です。
この両方の視点が合わさると、どんな洞察が生まれるのか?
今回はこの問いに迫ってみます。
(画像をクリックすると、PDFが開きます)
- 本書では、経営者・従業員・株主のトレードオフをトレードオンに昇華させる「複利の経営」が提案されている。
- 経営には4つのタイプがある。
①売上や利益の大小を第一とする「額」の経営
②利益率に注目する「率」の経営
③ROE・ROA・ROICを重視する「利回り」の経営
④長期持続的なROE・ROA・ROICを追求する「複利」の経営
このうち、長期的な利益を創出できるのが④である。 - 複利の経営を目指すには、まず事業経済性を効かせて十分な利益率を確保する必要がある。
- 次に、高い利益率を持続させるための「障壁」を築く必要がある。
1つ目の障壁は、「コスト優位」である。具体的には、低原価や独占的技術を追求する戦略を取っていく。
2つ目の障壁は、「顧客の囲い込み」である。顧客に自社商品を使うことを習慣化してもらう、スイッチングコストやサーチコストを高くするなどの戦い方がある。
3つ目の障壁として、上記の規模の経済性と囲い込みを組み合わせることで、他社の追随を許さない存在となることができる。
上記の障壁を築けない場合は、ひたすら効率化を進めるしかない。 - これらの「複利の経営」が成立している条件は、「ROE≧ROIC≧ROA>WACC」となっていることである。
いかがでしたでしょうか。
私なりに『三位一体の経営』の概要をまとめてみましたが、リスクテイクできる意思決定体制の作り方などなど、まだまだ伝えきれていない学びが沢山あります。
中でも、巻末の楠木建氏の解説は見物です。
言語化能力が低くて恐縮ですが「今年読んだ中で、最も買って良かった経営指南書」です。
学び
LINE株で経営や投資を学んでみる
『三位一体の経営』で読んでみたことを今日から試してみようと思うと、何ができるか?
ありきたりですが、株を買ってみるのもいいかもしれません。
上場している企業であれば、ググれば「ROIC・ROE・ROA」は一瞬でわかります。
WACCは少し厄介ですね。
公表している企業があれば、そのまま使用できます。
しかし、公表していない企業については、業界平均値を使ってみるのもいいでしょう。
そうすれば、「ROE≧ROIC≧ROA>WACC」の黄金比を満たしているかがわかります。
それ以外にも、財務諸表やビジネスモデルを分析してみれば、事業経済性を効かせることができているかもわかります。
具体的には、横軸に売上高、縦軸に利益率を置いてみて、正の相関があれば事業経済性があるかどうかがわかります。1企業の業績を5年分くらい使ってもいいですし、同業界の企業の数値を並べてみてもいいでしょう。
以上の分析を行ってみて、良さげな企業があれば、株を買ってみる。
LINE証券であれば、1株から買えます。
ちなみに私は、勉強代だと思って、5万円ずつ3社くらいの株を買ってます。
こんな感じで身銭を切ってみると、いやでも本で読んだことを血肉化しようと必死になります。
またまた良い本に出会いました。