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言葉に落とせないのは語彙力のせいじゃない!『言葉にできるは武器になる』梅田 悟司

この本で解ける疑問は?

  • 思ったことを、なかなか言葉に落せない…この症状、治せる?
  • 「わかりやすい文章」「わかりづらい文章」その違いは?
  • 国語が苦手でも、言語化能力を上げることはできる?

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『言葉にできるは武器になる』って?

-Why-なぜ書かれたのか?

筆者は、本書に込めた想いを次のように述べています。

「思考の深化なくして、言葉だけを成長させることはできない」

本書では、理系一辺倒で、さほど読書経験もない私が、いかにして思考を深め、1人でも多くの人の心に響く言葉を生み出そうとしているかを、誰もが同じプロセスをたどれるように順を追って説明していきたい。

短期的かつ急激に言葉を磨くことはできないが「内なる言葉で思考を深め、外に向かう言葉に変換する」といった流れを体得することで、一生モノの「言葉にできる力」を手にすることができるようになることを、ここに約束する。(6ページ)

このメッセージからわかるとおり、一生モノの「言葉にできる力」を身につけてもらうことが、本書の目的といえます。

しかしこの本、読んですぐ効く「対症療法」が書かれているわけではありません。
「漢方」のように、本質的に「言葉にできる力」を鍛える方法が書かれています。

-What-なにをすべきか?

ここでは、本書キーワードとなりそうな「内なる言葉で思考を深め、外に向かう言葉に変換する」の行動の意味を見ていきます。

まず目次を見ていくと、次の章立てになっています。

第1章:「内なる言葉」と向き合う

  • 言葉で評価される時代
  • 言葉には2つの種類がある
  • 「内なる言葉」と向き合う
  • 「人を動かす」から「人が動く」へ
  • 最後は「言葉にできる」が武器になる

第2章:正しく考えを深める「思考サイクル」

  • 内なる言葉の解像度を上げる
  • 「思考サイクル」で正しく考えを深める
  • 自分との会議時間を確保する

第3章:プロが行う「言葉にするプロセス」

  • 思いをさらけ出す2つの戦略
  • 戦略1:日本語の「型」を知る
  • 戦略2:言葉を生み出す「心構え」を持つ

(8ページ)

「言葉には2つの種類がある」と、親切に目次に書いてありますね。
見てみましょう。

まず「内なる言葉」の定義。

物事を考えたり、感じたりする時に、無意識のうちに頭の中で発している言葉。それが「内なる言葉」である。(29ページ)

次に「外に向かう言葉」の定義。

「外に向かう言葉」とは、一般的に言葉と呼ばれているものである。

自分の意見や思いに言葉という形を与えたもので、主に他者とのコミュニケーションを取る役割を担っている。(30ページ)

私も本書を読んで初めて、この「2つの言葉の存在」を自覚しました。
どうやら、普段我々が「読む・聞く・話す・書く」言葉というのは、「外に向かう言葉」を指しているようです。

この「外に向かう言葉」だけしか意識できていないと、「話すスキルを磨くために、プレゼンテーションや雑談術の本を読もう」「書き言葉の種類を増やすために、語彙力の本を読もう」などと、短絡的で表層的なアクションを取りがちになります。

「喋りは上手いけど、薄っぺらい」などと言われないためにも、「内なる言葉」の存在を自覚し、磨く習慣を持つ必要があります。

では、どのような習慣を作ればよいのでしょうか?

-How-どのようにすべきか?

筆者は「内なる言葉を磨く習慣」として、第2章で次の7つの方法を詳しく説明しています。全部は記載できませんが、一部紹介します。

  • 頭にあることを書き出す<アウトプット>
  • 「T字型思考法」で考えを進める<連想と深化>
  • 真逆を考える<逆転の発想>

(10ページ)

この中で私が「なるほど」と思ったのが「真逆を考える<逆転の発想>」です。

本書を読むまでは、「真逆を考える」=「賛成意見と反対意見の両方を考える」という狭い理解をしていました。

しかし本書では、より広義に、この「真逆を考える」を解釈していました。

  1. 否定としての真逆
  2. 意味としての真逆
  3. 人称としての真逆(123ページ)

たしかに、「本音と建て前」「希望と不安」「私とあなた」のように視点を変えることで、より「思考の幅」を広くすることができます。

この他にも、第2章では、「内なる言葉」を磨く習慣について、実践的な内容が紹介されています。

また、「内なる言葉」を磨いた次のステップとして、第3章では「外に向かう言葉」をより豊かにする方法が紹介されています。

 

学び

本書は「ブログを書く際に、もっとスラスラ言葉が出てこないかなー」と思い、手に取ったものです。

読む前の期待としては「上手い言い回しが何パターンか手に入ればいいな」といった感じでした。

ところが、実際に読んでみて、良い意味で期待を裏切られました。

確かに、上手い言い回しや言葉遣いが、実際の名著を例に挙げながら何パターンか紹介されています。

しかし、私にとっての「本書の本当の価値」は、もっと別のところにありました。
それは、「言葉を磨くためには、何よりも先に思考を磨け」というメッセージです。

いくら「上手い言い回し」を見つけたとしても、その言い回しの背景にある「考え方」まで理解しないと、応用ができません。

例えば、宮沢賢治の「雨ニモマケズ、風ニモマケズ」は一般的に「上手い言い回し」と認知されていると思います。
でも、いざ、この言い回しを自分も使おうと思ったときに、どう自分の文章に当てはめてよいかわかりませんでした。
なぜならば、宮沢賢治の考え方や価値観に触れて、自分の中で「腹落ちさせる」というステップが抜けていたからです。

言葉にするためには、「自分の頭で考える」というステップは避けては通れない、ということですね。

ブログで使えそうな「枝葉のハウツー」に飛びついた私に喝を入れてくれた、素敵なビジネス書でした。

明日から取れるアクション1つ

  • いいな!と自分が感じた表現・言い回しをメモする
    そして「なぜ、いいな!と思うのか」もメモに残す

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  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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