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【要約・書評】『直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN』佐宗 邦威

この本で解ける疑問は?

  • VISION思考、VISION DRIVENとは何か?
  • 論理思考、デザイン思考、VISION思考の違いは?
  • どうやって直感と論理をつなげばよいのか?

『直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN』って?

本書を手に取った理由を一言で表すと、これにつきます。

「左脳偏重から卒業したい」

最近はよく、ロジカルシンキングといったサイエンス偏重になってきていることが問題視されていますよね。

サイエンスに偏り過ぎ、利益最優先で非倫理的な行為も厭わない。
そんな姿勢のツケが、最近流行の不正問題という形で浮彫になってきている。

だからこそ、サイエンス・アート・クラフトの融合が求められているんだと。

…ここまでは、共通認識として、皆さんもお持ちかもしれません。

しかし、ここで一つの疑問が浮かび上がります。

「じゃあ、どうすんのよ?」

…ごもっともです。

左脳と右脳の使い分け方なんて、学校も誰も教えてくれません。

そんなときに、一筋の光明を示してくれたのが本書『直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN』でした。

-Why-なぜ書かれたのか?

本書の「はじめに」にて、次のような問題意識が確認できます。

ふつうに生きていると、僕たちの脳はずっと「他人モード」になっており、「自分がどう感じるか」よりも、「どうすれば他人が満足するか」ばかりを考えている。

膨大な業務に忙殺されている人、部下のマネジメント責任がある人、顧客の対応に追われる人、家事・育児・介護を抱える人…大きなネットワークのなかで生きる僕らの日々は、「他人モード」で占められている。何気ないソーシャルメディアの投稿をするときですら、「どうすればフォロワーたちを喜ばせ、『いいね!』を押してもらえるか」をつい考えている。
(2ページ)

しかし、この「他人モード」に支配されない人々もいるそうです。
イーロン・マスクのような、いわゆる「ビジョナリーな人」たちです。

筆者の問題意識は、次のように続きが述べられています。

それにしても、なぜ彼らは、「論理」を離れたところからスタートしながら、最終的に、目の前の現実を動かすことができているのだろうか?

単なる「空想家」で終わる人と、現実世界にもインパクトを与える「ビジョナリーな人」とのあいだには、どんな違いがあるのだろうか?

それが本書の主題ー「直感と論理をつなぐ思考法」だ。(9ページ)

つまり、上述をそのまま引用すると、「直感と論理をつなぐ思考法を紐解き、伝えること」が本書の目的です。

-What-なにをすべきか?

ここで、いきなりですが、本書の「ペライチ」を図1に示します。

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図1

筆者は、先ほどの「直感と論理をつなぐ思考法」を「VISION思考」と定義づけています。

この「VISION思考」は、巷に出回っている他の思考法と比較することで、その輪郭がハッキリと見えてきます。

まず、比較対象は次の3つです。

  • カイゼン思考
    PDCAサイクルを回して、物事の改善を繰り返すこと

  • 戦略思考
    起きている問題の原因などをある程度、網羅的に列挙して、機会の「見落とし」を防ぎ、自分が勝てる目標を設定すること

  • デザイン思考
    デザイナーの思考プロセスに準拠し、五感を活用しながら「世間のニーズ」「テクノロジー」「ビジネス」の3つを統合し、生活者の課題を解決するアプローチ

また、比較軸は次の2つです。

  • 「0→1」を目指すか、「1→∞」を目指すか
  • 「ISSUE=外的な問題・課題」が起点か「VISION=内的な願望」が起点か

以上の3つの思考法と比較すると、VISION思考とは、VISION DRIVEN(=「内的な願望」が起点)で、「0→1」を目指す思考法だと理解できます。

-How-どのようにすべきか?

では、具体的にどのようにして、この「VISION思考」を実現していけばよいのでしょうか?

筆者は、「妄想→知覚→組替→表現」のサイクルを回すことを提唱しています。

ここで重要なのだ、これは単なるフローではなく、「循環している」「サイクルである」ということです。
したがって、「表現」した後は、さらなる「妄想」の領域に戻っていく、という行為を繰り返すわけです。

さて、ここでは、本書が特に重きを置いている「妄想」について詳しく見てみます。

この「妄想」にあたり不可欠なのが、「余白」の存在です。

「余白づくり」がすべての起点になる(77ページ)

具体的には、

  1. いますぐ1冊のノートを買うこと(A6・無地のモレスキンノートがおすすめ)
  2. いますぐカレンダーに、毎朝15分、ノートを書くためだけの予定を入れること(11ページ)

…この2つのアクションから始めてみるだけで、脳が「他人モード」から「自分モード」に切り替わり、内なる原動力に火がつくそうです。

 

他にも「知覚」「組替」「表現」を促すための、具体的で独創的な手法が丁寧に解説されていますので、誰でも「直感と論理をつなぐ思考」を鍛えることができる内容になっています。

また、本書を読んで一番印象に残ったことが、図2の絵です。

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図2(出典:https://bizzine.jp/article/detail/3415

この絵が実に秀逸です。

所々の何気ない表現にも、全て意図があります。
驚きと共感の連続ですので、是非本書を楽しんでみてください。

 

学び

本ビジネス書を通して、次の学びを得ました。

ブログは「自分モード」に入る手段の一つ

本書では「自分モード」に入り、内的な原動力である「VISION」を重要視しています。

その「VISION」を描く第一歩として、「妄想」することを提唱しています。

この本を読んだときに、「妄想って、まさしくこれのことだ!」と気づいたのが、図3の絵図でした。

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図3

これは、

  • 私が大好きなビジネス書の魅力を、たくさんの人にも読んでもらいたい
  • 人に本を読んでもらうためには、「本を読むか(買うか)を判断する情報」が必要
  • 「本を読むか判断する情報」を得るために、多くの人は「立ち読み」をしている
  • この「立ち読み」を、デジタルの世界で再現できないか?

…といった妄想を、絵図に落としたものです。

こうした「妄想」をしていると、まず何より、楽しい。

「楽しさ」が心の奥から湧き上がってきます。

そうした「心の奥から湧き上がる楽しさ」を形にできる場の一つが「ブログ」です。

 

多少失礼な物言いかもしれませんが、私は別に「読者第一」ではなく「自分の好き嫌い第一」で本ブログを書いています。
「読者第一」にしてしまうと「他人モード」に頭が切り替わってしまうためです。

自らの「直感と論理をつなぐ思考力」を磨くためにも、今後もこのスタンスを維持せねば、と再認識できました。

(結果的に、現実にインパクトを与えるような形になれば、と思いますが、まだまだまだ先は遠いですね)

明日から取れるアクション1つ

  • 妄想タイムを毎日15分確保する

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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