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【要約・書評】『神・文章術』フミコフミオ

以前、以下の記事で「文章術のおすすめ本」を紹介いたしました。

【確定】文章力本の四天王がついに出そろった。

このときは、「もう文章術の良本はほとんど読んだし、これ以上は文章術に触れる必要もないな」と思っていたんですよ。

それは大いなる勘違いだったわけですが・・・(笑)


これまで読んできた本は、あくまで「どのように書くか?」を語った文章術本でした。

ただ、文章を書くうえでは、「どのように書くか?」以上に「何を書くか?」が重要です。

それなのに「何を書くか?」をしっかりと解説してくれる本は、あまり見当たらない・・・

しかし今回、「何を書くか?」について真正面から切り込んでいる本を発見しました。

神・文章術』です。

『神・文章術』とは?

神・文章術』では、「自分オリジナルの文章を書くための、世界観のつくり方」が記されています。

自分らしい文章を書くためには、自分の確固たる世界観を持っておく必要がある。

世界観を持つために、自分の考えを書き出す習慣をつけておく。

そのためのノウハウが惜しげもなく披露されている本です。


また、筆者の経歴もおもしろいんですよね。

筆者は一般的なサラリーマンとして働きながら、その傍らでブログを執筆されています。

それにも関わらず、著名人をおさえて、読者数ランキングはトップクラス。

ブログのPVも月間100万を超えています。

実際にブログを読んでみると、どの記事も「それ、あるある」と、頷きが止まりません。

一見すると、普通の内容が書かれているようにも思うのですが、その表現というか、世界観の切り出し方が面白いんですよね。

だから「そんなの、よくある話じゃん」ではなく「うん、あるある。めっちゃわかる」と前のめりに読めてしまう。

そんなブログを読みながら、「普通のサラリーマンなのに、どうしたそんなに面白いコンテンツが書けるのだろうか?」と失礼ながら疑問に思ってしまう・・・

この疑問に対して、キレイに答えてくれるのが、本書『神・文章術』です。


ちなみに、この本を読んで得た学びを書いてみたので、↓に貼っておきます。

「書き捨て」をすると、世界観がどんどんクリアに

では、本題。

どうすれば、面白い文章が書けるようになるのか?

それは、自分だけの「世界観」をクリアにすることです。

例えば、「上司に理不尽な仕打ちを受ける」という出来事ひとつとっても、面白く表現できる人もいれば、平凡にしか表現できない人もいます。

その差は、「世界観=ものの捉え方」によるものです。


では、どうすれば、独自の「世界観」を作り出すことができるのか?

その答えが「書き捨て」です。

書き捨てとは、「紙に思うまま書いて、そのまま捨てること」を意味します。

この「書き捨て」こそが、『神・文章術』の根幹をなすキーワードです。

「書き捨て」の具体的な手順を掘り下げてみましょう。

①紙に書く

まずは、紙に書くこと。

本書では「思考よりも、紙に書くことが大事だ」と主張されていました。

これ、すごくわかります。


私自身もコンサルティング会社にいたころによく言われたことですが、

「紙に書くこと、それはすなわち"思考すること"である」

「紙に落ちてこないものは、思考とは呼ばない」

と手厳しく指導されていました。


よく「思考したあとに、紙に書くんじゃないの?」と質問を受けることもあるんですが、

実は「紙に書くと、思考が進む」が正しい。

思考というのは、紙に書き出さないと、右から左に流れていってしまうものです。

頭の中にあることなんて、よっぽどの天才でもないかぎり、すぐ忘れちゃうんですよ。

よくあるじゃないですが、「何か言おうと思ってたんだけど、、、忘れちゃった」ってやつ。

あれですね。

だから、まず、紙に書くこと。

紙に書くと、自分の思考が客観視できて、そこから新しい発想が生まれることがあります。

また、紙にどんどん書いていくと、「あ、もしかして、これとこれは、こういう関係なのかな?」と、思考が整理されていきます。

とりあえず、紙を出して、何か書いてみる。

これが、何かを考えるときの一丁目一番地です。

②残さない意識を持つ

「書き捨て」において2つ目に大切なこと。

それは「残さない意識」を持つこと。

個人的には、本書を読んでみて、これが一番「書き捨て」で大切なことだと思いました。


残さない意識を持つこと。

それは、書いたものは、例外なく「捨てる」こと。

そうすると、「キレイに書こう」とか「他人に見られて困ることは書いちゃダメだ」といった、余計な意識を無くすことができます。


私たちが普段書いている文章は、メールとか資料とか、「他人が読むもの」ばかりです。

だから、知らず知らずのうちに「自分の心からの本音」が薄まってしまっている。


一方「書き捨て」はというと・・・

「ここに書いたものは、どうせすぐ捨てるから、誰にも見られない」と思いながら書いていく。

この「リスクフリー」な状態こそが、「自分が思ったことを、包み隠さず書くこと」に繋がります。


自分の本音を100%書き続けていくと、次第に「自分なりの世界観」がクリアになっていく。

この「世界観」が、自分の思考や感情をUpdateしていき、それをまた文章として書きだしていく。

・・・こういった好循環を回していくことで、自分だけの「ものの捉え方」が育っていきます。


残さない意識を持つ。

個人的に、本書のなかで最も心に残った方法論でした。

③消しゴムで消さない(削除は線で)

「書き捨て」をするときに大切なこと。

3つ目は「消しゴムで消さないこと」です。

  • どうせ書いたあとに捨てるのだから、わざわざ消しゴムで消す必要もない。
  • 消すときは、横線を引いて、消す。

確かに、このやり方であれば、「どんな書き間違えをしたか」も振り返りながら、書き進めることができます。

間違ったり、迷ったりした過程もすべて含めて、自分の思考をさらけ出す。

そのためにも、文章はすべて消さずに書いていく。

・・・こんな方法論があるとは気づきもしませんでしたが、試してみればみるほど、じわじわと効果を実感しました。

④必ず捨てる

「書き捨て」において、絶対にしなければならないこと。

それは、書いた紙を捨てること。

いいメモが書けると、ついその紙を残したくなります。

でも、一度残してしまうと、それ以降も「残す前提」でメモを書くようになってしまいます。

そうすると、「残すため」「後で見返すため」「誰かに見られてもOKなように」・・・と、どんどん本来の「書き捨て」の姿からかけ離れていきます。


そうは言っても、

「書いたメモを捨てたら、忘れてしまうのでは?」

こんな疑問を抱く方もいらっしゃるでしょう。


でも、安心してください。

私も、この「書き捨て」を試してみましたが、大丈夫でした。

「自分の頭で考えて、自分の言葉で書いたこと」であれば、そう簡単には忘れません。

まあ、頭も使わずにとりあえず何かを暗記するときは、いくら頑張っても覚えられないのですが(笑)

⑤自分の言葉に落とし込む

「書き捨て」で大切なこと5つ目は、自分の言葉で書くこと。

本などの「他人の言葉」をそのまま使うのではなく、自分が理解している言葉で表現してみる。

この方法は、先日ご紹介した『TAKE NOTES!』にも記されていましたね。

書評『TAKE NOTES!メモで、あなただけのアウトプットが自然にできるようになる』


私の周りにいる「めちゃくちゃ仕事ができる人」も、読書メモには必ず「自分なりの解釈」を書いていました。

「自分の言葉で書く」

これは、文章術を極めるうえでも、外せないポイントなのかもしれません。

⑥制約をかけずに自由に書く

6つ目は「制約をかけずに自由に書く」です。

「書き捨て」で大切なことの総まとめ的な存在ですね。

綺麗に論理的に書こうとせず、思いついたことを思いついたまま書いてみる。

他人には見せられないような表現だろうが、気にせず書いてみる。

・・・今まで、そんな風に文章を書いたことが無かったので、とても新鮮ですよね。

やってみると、開放的になれたというか、自分の感情や思考が整った感覚になりました。

サウナに入ったあとの、あの感覚に近いです(笑)

まとめ

以上、『神・文章術』について紹介いたしました。

今回のキーワードは「書き捨て」。

書き捨てとは、「紙に思うまま書いて、そのまま捨てること」でしたね。


実際に本書を読んでみると、いろいろな角度で「書き捨て」について解説されています。

あと、個人的に一番気に入っているのは、「書き捨ての実践編」として巻末に書かれている物語。

これがめっちゃ面白いです。

ぜひ、年末にソファにでも寝っ転がりながら、読んでみてほしい一冊です。

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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