普段本を選ぶときは、書店に足を運んで、気になった本の「はじめに」と「目次」を読み、興味をもった章をパラパラ読んでみます。
そして、「あ、これは知らなかったな」と思える記載が1つでも見つかれば、その本を購入するようにしています。
そうやってると、1冊購入するのに、だいたい10分とか15分とかかかってしまうのですが・・・
つい最近、表紙だけを見て、一瞬で購入を決めた本がありました。
『人間ぎらいのマーケティング 人と会わずに稼ぐ方法』という本です。
『人間ぎらいのマーケティング』とは?
『人間ぎらいのマーケティング』とは、一言でいうと「人となるべく会わずに稼ぐ方法」が記された本です。
表紙を見ると、この本を読むべき人の特徴が書かれていました。
- 人と会うとどっと疲れる
- 家から出たくない
- 人と会わずにモノを売りたい
- 人とのコミュニケーションを最小化したい
・・・どれも、めっちゃ共感します。
私自身も、人と会って直接話すと、ぐったりすることが多いです。
コロナ禍になって、リモートワークが浸透したおかげで、オフィスに出社したり人と会ったりするシーンも少なくなったおかげで、心身が前より元気になったんですよね。
そんな私にとって、『人間ぎらいのマーケティング』は、心から待ち望んでいた本でした。
だから、表紙を見ただけで手に取ってしまったのでしょう。
おっと、話がそれましたね。
『人間ぎらいのマーケティング』がどんな本なのか?を語っていた途中でした。
本書の目次を見てみると、
- 第1部:極力、家から出ないで商売するための思考法
- 第2部:「Youtube」「Amazon」「Google」「Google広告」を使いこなして稼ぐ
- 第3部:人間ぎらいのマーケティングで商売を立ち上げるための参考事例
こんな構成になっています。
もう少し私なりに論点をかみ砕くと
- 人間ぎらいな人は、どういうビジネスに参入すればよいのか?
- 人脈もない中で、どのようにサービスを認知してもらって買ってくれるまでの導線をしけばよいか?(Youtube、Amazon、Google、書籍、これらをどう使い分ければよいか)
こういった論点について、実際に筆者がビジネスを立ち上げたプロセスに沿って解説されています。
なかでも、個人的に一番学びが深かったポイントをご紹介します。
どういうビジネスに参入すべきか?
無名だし人脈もない人間は、どういうビジネスに参入すればよいのか?
この問いについて、筆者は「始めにくい商売に参入せよ」とアドバイスをくれます。
「始めにくい商売」・・・これの条件が3つあるそうです。
(1)少数の売り手と買い手しかいない(独占、もしくは寡占業界にしやすい)
(2)販売されている財・サービスが他とは違うものである
(3)個々の需要者と供給者は、市場価格や財の性質について情報をあまり持っていない
『人間ぎらいのマーケティング 人と会わずに稼ぐ方法』p38
経済学の理論に忠実な、実に本質的な条件だと思います。
一方で「なんだか抽象的な表現だな」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、安心してください。
筆者は、自身が立ち上げたビジネスを例に説明をしてくれています。
(1)少数の売り手と買い手しかいない(独占、もしくは寡占業界にしやすい)
まずはこの条件について。
筆者は「早慶上智AO入試対策」「慶應SFC一般入試対策」に参入しています。
実はこの領域、他に広告を出している企業が3社くらいしかいないそうです。供給者が少ないんですね。
じゃあ、なぜ供給者が少ないかというと、需要者(そのサービスを求めている人々)が限られているからです。
早慶上智を受験する人は、けっこうな人数がいます。
2022年度の慶應の受験者数を見てみると、約3万6千人いるみたいです。
一方、そのなかで「AO入試を受ける人」となると、10分の1くらいに絞られます。
「毎年数千人しか求めていないもの」なので、大きな企業は参入してこない。
こういう市場がねらい目ということです。
(2)販売されている財・サービスが他とは違うものである
次に2つ目の条件です。
筆者のビジネスの競合は、いわゆる「塾」なのですが、新規に参入するなら「他社と違うこと」をしなければならない。
そこで筆者は「毎日10分しか指導しないネット家庭教師」というコンセプトを打ち出しています。
このコンセプト、ユニークですよね。
他社がやっていない点も特徴的なのですが、一番すごいなと思った点は「自分自身の性格とマッチしているビジネス」ということです。
筆者は「人と直接会うと、どっと疲れる性格」なので、「人と直接会わなくて済むビジネス」に参入したわけです。
自分自身の個性が、そのままビジネスの個性に繋がっている。
だからこそ、余計なストレスなく、自分が強みを発揮できる領域に集中できる。
この考え方・思考法が、本書を読んでいて一番心に残ったポイントでした。
(3)個々の需要者と供給者は、市場価格や財の性質について情報をあまり持っていない
この3つ目の条件も、ビジネスの本質をついた内容でした。
例えば「医療」とか「法律」とか「不動産」などは、一般消費者の私たちからすると、専門的な部分が大きすぎて、よく理解できないですよね。
このような「供給者と需要者で、情報格差があるもの」はビジネスにつながります。
筆者が参入している「難関私大のAO入試」は、医療や法律までではないにしろ、高い専門知識が求められます。
一般家庭の親がAO入試の合格方法を簡単に入手できたら、そもそも塾なんて必要ないですもんね。
以上の3つの条件や考え方を知ることができたのは、本書を読んでみて一番の収穫でした。
他にも「集客するために、YoutubeやSNS、Googleなどをどのように活用すればよいか」も、実際の事例を通して超具体的に解説してくれています。
「人間ぎらいで、自分で事業を起こしたい方」は必読の本かと。