管理職的なポジションになってから、いろいろな「マネジメント」系の本を読んでみました。
・・・が、イマイチしっくりくる本が見つからず。
マネジメント理論が書かれた和訳本は「いや、キレイごとっしょ、それ」と思っちゃうし。
「課長の○○」みたいな本もいくつか読んでみましたが、「大企業の課長、こってりしてんなー。てか、社内に目が向きすぎ。社内調整にばかり時間取られるとか、ダサすぎでしょ」と思ってしまう。
そんな感じで、「これは、ぜひ実践してみたい」と心から思える本と出会えませんでした。
しかし、そんな中、気になる本が一冊。
帯に「ベンチャー企業を上場まで導いた、プロフェッショナルマネジャーのノウハウを一挙公開」と書いてある本があるじゃないか・・・
ベンチャーって、個のスキルでゴリゴリと事業を拡大していくイメージがあって、
とても整ったマネジメントをやっている余裕なんてないんじゃ?と固定観念を持っていましたが、
どうやら、ベンチャーにおけるマネジメントにも方法論があるらしい。
何だか、これまでの本に書いていないような、キレイごとでも、社内政治的な話でもない、「実践的なマネジメントの話」が書かれていそうだ。
そんな期待感で手に取った本がこちら。
『急成長を導くマネージャーの型』です。
『急成長を導くマネージャーの型』とは?
本書は、リクルートやDeNAを経て、ハウテレビジョンを東証マザーズ上場に導いた長村禎庸氏の本です。
ベンチャー企業は、組織の規模が小さく、事業の展開スピードも速いため、マネジメントを丁寧に教えてくれる人はなかなか存在しません(まあ、大企業でも、マネジメントをちゃんと教えてくれる人は稀有でしょうが…)。
しかもベンチャー企業のように、週単位、月単位で、直面している事業課題がコロコロ変わるような状況におけるマネジメント手法を教えてくれる人なんて、どこにもいない。
「だったら、自分でマニュアルを作ってしまおうではないか」ということで、ベンチャー企業におけるマネジメントを方法論化した本が、本書『急成長を導くマネージャーの型』です。
ベンチャー企業ならではの実体験をベースに、上手くいったこと、失敗したことが赤裸々に綴ってあります。
しかも、ただ経験談が記されているだけではなく、体系的にフレームワーク化されている。
これほど、理論と実践を掛け合わせたマネジメント本は見たことがありません。
それくらい、魅力的な一冊だと、心から思います。
そんな本書の全体像を、私なりの学びをふまえながら図解すると、以下の通りです。
ベンチャーでも、人を動かして育ててなんぼ
本書を読んでみて強く実感したのは、ベンチャー企業であっても、人を動かして育ててなんぼだ、ということ。
ベンチャー企業だからといって、指示だしを雑にしてOKでもなければ、人を育てなくてOK、というわけにもいかない。
忙しいさなかでも、適切な指示を出し、人を育てなければならない。
ベンチャー企業であることを、マネジメントの言い訳にしてはいけません。
・・・と、そんなメッセージを受け取りました。
例えば、指示の出し方1つとっても、本書は丁寧に教えてくれます。
本書曰はく、指示の出し方には5段階あるそうで。
- 背景
競合が力をつけてきているので、ウォッチして意思決定に生かしたい - 業務目標
競合と自社の機能を比較する表を作成してほしい - 業務要件
必要な要件は○○、○○、〇〇だ - 参考情報
フォーマットはこの表を参考にしてほしい - 具体的やり方
まずA1セルには〇〇、次にB1セルには○○、色は○○
既に経験豊富なシニアスタッフに対しては、1~2まで指示をする。
不慣れなジュニアスタッフに対しては、1~4まで指示をする。
いずれにせよ、5の具体的やり方まで指示を出すと、スタッフに窮屈な思いをさせてしまう。
・・・と、指示の出し方1つでも、気を付けるべきポイントがあります。
ベンチャー企業だからといって、雑に指示を出していいわけではない。
この点を改めて思い知らされました。
以上のように、本書の全体像の「指示を出す」1つとっても、これだけ多くの学びがあります。
他にも、
- ベンチャー企業において、マネージャーに求められる役割は何か?
- 具体的すぎず抽象的すぎない「方針」をどうやって設定すればよいか?
- ベンチャー企業だからこそ気にしなければならない「個人の目標設定と評価」の勘所は何か?
まで、丁寧にフレームワーク×実体験をもとに教えてくれる一冊です。
管理職になりたての方は、読んでみることを、強く×100オススメします。