今日ご紹介する『LISTEN-知性豊かで創造力がある人になれる-』。
最近読んだ本の中では、一番びっくりさせられた本かもしれません。
というのも、これまで何冊も読んできた「聞き方の本」で学んだテクニックが、覆されてしまったからです。
例えば、
「相手が話しているときは、うなずきながら聞く」
「要所で"そうだね"と相づちを打つ」
「相手の言葉をオウム返ししたり、言い換えたりして、理解していることを示す」
こんなテクニックがありますよね。
これに対して、筆者は次のように指摘しています。
なぜこのような聞き方が「いい」とされるのでしょうか。
それは、この方法を実践すれば、自分が欲しいものが手に入る(つまりデートする、売り上げを上げる、最善条件を交渉する、会社の出世階段を上る)という前提があるからです。
確かに、傾聴はこれらの目標達成の一助となるかもしれません。しかし、それがあなたにとっての人の話を聞く唯一の動機なのであれば、それは聞いているふりをしているにすぎず、相手はすぐに気づくでしょう。もし本当に相手の話を聞いているのなら、そんなふりをする必要はありません。
『LISTEN-知性豊かで創造力がある人になれる-』p99
何とも痛烈な記載です。
「聞き方の本」に書いてあるテクニックは、自分のためにすぎない。
本当に、心からの好奇心を持って、全集中で相手の話に耳を傾けるのであれば、そもそもテクニックなんて必要ない。
言われてみたら、確かにそうかもしれません。
本当に興味ある人の話を聞くときは、相づちとかうなずきは二の次で、とにかく聴くことに集中しますよね。
聴いて、メモして、理解して・・・もうそれだけで頭がいっぱいのはずです。
そして、その聴く態度は、自ずと相手にも伝わっていく。
そう考えると、「ヒアリングの技術」なんてものは必要ない、と思えてきますね。
とはいえ、「やってはいけない聞き方」と「よい聴き方」という観点で、
いくつか押さえておくべきポイントがあるそうです。
よくない聞き方と、よい聴き方
そもそも「聴く」とは、いったいどういうことなのでしょうか?
それは、次のような姿勢を指しています。
- 相手の頭と心の中で何が起きているのかわかろうとすること
- 「あなたを気にかけているよ」と行動で示すこと
非常にわかりやすい定義ですよね。
あくまで「自分の利のため」ではなく、「相手をわかろうとするため」に、話に耳を傾ける。
この目的の置き方が、一番大事なポイントだと私は感じました。
では、具体的に「よくない聞き方」と「よい聴き方」には、どんな違いがあるか。
本書から、キーフレーズを一部抜粋してみました。
よくない聞き方
- 話をさえぎる
- 言われた言葉に対して、「あいまいな反応」を示す
- 話し手以外のもの(スマホ、時計、PCなど)を見る
- 「アドバイスしよう」と思って聞く
- わからないときに「わからないまま」にしておく
これらの行いは全て「相手をわかろうとするため」 という目的からは大きく外れています。
例えば「アドバイスしよう」と思って聞く姿勢。これは、
「相手をわかる」
ではなく、
「自分の考えを早く伝えたい」「自分の有能さを示したい」というモチベーションが働いています。
問題解決が目的の場であれば、アドバイス前提で聞いてもよいのでしょうが、
プライベートや対話の場では避けた方がよさそうですね。
特に「男性脳は解決志向型」と言われるように、われわれ男性陣は大いに気をつけねばなりません。
よい聴き方
続いて、よい聴き方についても、本書から紐解いてみました。
- 「相手がなぜ、その話を私にしてきたのか?」をくみ取る=共感する
- 「次は何を話そう/聞こう」と考えずに聴く
- 「なぜ?」という質問はしない
- 何かを解決するのではなく、好奇心から質問する
確かに「相手がなぜ、その話を私にしてきたのか?」を考えることは、
「相手はどんな状況に置かれていて、どんな気持ちなのか」を考えることにつながります。
この問いには、「相手をわかろうとする力学」を働かせる力が込められています。
また、「次は何を話そう/聞こう」と考えない、という姿勢について。
これは、実践するのにも勇気が必要です。
というのも、私がまさにそうなんですが、コミュ障だったり、内向的だったりすると、
「次は何を質問しよう、どうやって場をつなごう・・・」
こんな考えで頭がいっぱいになるじゃないですか。
ただ、この前ですね、試しに「次は何を聞こうかな?と考えないこと」を実践してみたんです。
とにかく、全神経を集中させて、相手の話に耳を傾けるだけ。
すると、考えなくても、自然と質問や言葉が出てきたんですよ。
少しでも相手の話に興味があるのであれば、100%聴くことに集中するだけで、おのずと質問が生まれる。
改めて、「集中力」と「好奇心」の秘めたる力に驚かされました。
・・・以上の話をまとめますと、以下のように表現できます。
あ、この絵はですね、今回はじめて「グラフィックレコーディング」に挑戦してみたんですよ。
といいつつ、文字多めなのですが(笑)
まあ、人の絵がいくつか描いてあるだけ、よしとしましょう。
こんな感じで、本の紹介をグラフィックにやっていければと意気込んでおります。
顧客理解のためには、「なぜ?」を使わない
どうやら、
顧客の深層心理を理解するためには「なぜ?」を使わないこと
これは、一つの原理原則なのかもしれません。
まずは、今回ご紹介した『LISTEN-知性豊かで創造力がある人になれる-』。
本書では、次のように指摘されています。
ナオミはまた、なぜ夜遅くまで買い物をするのか、というシンプルな質問もしませんでした。というのも、ナオミ曰く「なぜ?」という言葉は、人を身構えさせるからです。自分を正当化しなければいけないと感じてしまうのです。
『LISTEN-知性豊かで創造力がある人になれる-』p215
要は、「なぜ?」と聞かれた相手は、自分を正当化させる「それっぽい理由」を作ってしまうわけです。
作られた理由である以上、「相手をわかろうとする」という目的からはかけ離れてしまいます。
さらに、これと全く同様の指摘が『「心」が分かるとモノが売れる』でもなされていました。
こうした質問を投げかけられたとき、パッと答えられるでしょうか。私自身もそうですが、よほど印象に残る何かがない限り、自分でも驚くほど記憶に残っていないはずです。
事実と全く異なる「何か」を信じ込んでいることは珍しくありません。本人が語る「購入理由」や「商品に引かれたきっかけ」も必ずしも真実とは限らないのです。
『「心」が分かるとモノが売れる」p65
ここからも、相手をわかろうとするために「なぜ?」と質問するのがいかに的外れか、よくわかりますね。
このように、複数の「聴く名人」から同様の指摘があったということはですよ、
対話やヒアリングにおいて、「なぜ?」という質問はしてはいけない。
これは1つの真理なのかもしれません。
複数の書籍から、共通項を探す。
これも読書の醍醐味の1つですね。
と、最後は話がそれましたが、今回は「聴くためのバイブル」として『LISTEN-知性豊かで創造力がある人になれる-』 をご紹介しました。