コンサルとして入社したてのときに必ずぶち当たる壁。
それが「議事録」です。
コンサルは、社内外問わず、たくさんの会議に参加することになります。
それに伴い、大量の議事録を作成せねばならず。
しかも、書いた議事録1つひとつに対して、大量の赤入れが行われます。
もはや、自分が議事録に書いた文章量よりも、赤入れの量のほうが多い・・・なんてこともザラです。
また、コンサルでなくとも、会議で議事録を取るシーンは多いはずです。
その中で「上手く議事録が書けないな」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、「コンサル時代に議事録に苦戦しまくった私を救ってくれた本」や「当時、これ読んでおけばよかったなーと思う本」をご紹介します。
議事録を書けるようになるための6つのポイント
本の紹介に入るために、まずは議事録を書くためのポイントをおさえておきましょう。
具体的には、以下の6つです。
- 議事録に求められるレベルの全体像を知る
- 話を理解する
- わかりやすい文章を書く
- 論点をおさえる
- 箇条書きを制する
- ワードを使いこなす
図にすると、以下のような感じですね。
この6つに沿って、おすすめ本を紹介していきます。
①「議事録に求められるレベルの全体像を知る」ためのおすすめ本
まずは、議事録に求められるレベルをおさえておきましょう。
そのためにダントツでおすすめしたい本が『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト』です。
本書の「議事メモ vs 議事録 vs 発言録」というパートを開いてみてください。
そこで、議事録に求められるレベルが7段階で解説されています。
・発言録のレベル(Lv1)
・議事録のレベル
-「話された内容」が構造化されている(Lv2)
-次のタスクが書かれている(Lv3)
-会議の「空気感」まで加味されている(Lv4)
・議事メモのレベル
-「想定していた論点」ベースで構造化されている(Lv5)
-「仮説の進化」に力点が置かれている(Lv6)
-「ネクスト論点」までも書かれている(Lv7)
この全体像をふまえたうえで「自分はどのレベルにいるのか=現在地」を知るところから、議事録マスターの旅がスタートします。
その点において、『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト』ほど優れた本を、私はまだ見たことがありません。
本書を読むと、議事録の各レベルの具体的な中身や、求められるスキルセットが丸わかりですので、ぜひ読んでみてください。
「???もう少し知りたい」という方は、以下の書評をご覧いただければと。
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【要約・書評】コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト
「コンサルの3年間は、事業会社の10年間に匹敵する」 それくらいの濃さがあるコンサルの世界。 この世界に入りたてのころは、一挙手一投足について、膨大なフィードバックをもらうことになります。 「結論から ...
続きを見る
くどいですが、超オススメ本です。
②「話を理解する」ためのオススメ本
議事録を書くためには、会議で話されている内容を理解する必要があります。
ただ、これが難しいのなんの・・・
業界専門用語とか横文字が2~3個飛び交った瞬間、話の内容が全然わからなくなる。
私もこの問題に大いに苦しめられました。
そこで「そもそも、"わかる・理解する"とはどういう状態なのか?」を知るために、
Amazonで「わかる」と入れて検索してみたんですよ。
そこで見つかった本が『畑村式「わかる」技術』でした。
本書は、工学系研究科の教授で、失敗学を専門とされている方によって書かれた本です。
- 「なぜ授業の説明がわかりにくいのか」
- 「うま味って何ですか?」と聞かれたとき、「うま味」を知らない人にどう教えたらいいのか?
- そもそも「わかる」とは、どういうことなのか?
このような観点について、学術的に説明されています。
初見だと少し難しい本ですが、何周か読んでいると「"わかる"とはどういうことで、どうすれば"わかる"のか?」を本質的に理解できます。
これまた良書中の良書。
③「わかりやすい文章を書く」ためのオススメ本
仮に会議の内容が理解できたとして・・・
次に待ち構えているのが「わかりやすい文章を書く」という関門。
リアルタイムで会議の内容を理解しながら、同時進行で「わかりやすい文章」を書いていく必要があります。
なので、わかりやすい文章を脊髄反射で書けるようになっておく必要があります。
では、わかりやすい文章のルール・型は何なのか?
この手の「文章術」の本はたくさんあって、ぶっちゃけどの本も大差ありませんが、
強いて1冊あげるとすると、『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』かなぁと。
理由は「文章術の本100冊のなかから、特に大事な事項をランキング形式で40個教えてくれるから」です。
手元に一冊あると、きびだんご並みに心強い本です。
※書評を読みたい方は、以下の記事をご覧ください。
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【朗報】やっと出た文章術の決定版!『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』
この本で解ける疑問は?
続きを見る
④「論点をおさえる」ためのオススメ本
議事録を書く上で最も重要なこと。
それは「会議の中で解くべき問題=論点」をおさえることです。
会議では「まだ答えが出ていない、かつ、答えを出すべき問題」について話し合いが行われます(…のはず)。
であれば、会議で答えを出すべき問いは何か?を把握していないと、議事録なんて書けるはずがありません。
発言を時系列に並べるだけでは、それは議事録とはいえません。そういうものは、発言録と呼びます。
議事録は、会議で議論された「論点」ごとに整理されている必要があります。
もう少しかみ砕くと
- 会議では、どの論点について議論したのか?
- 論点に対して、どんな答えが出たのか?答えに至った経緯はなにか?
- 答えを踏まえると、次のアクションは何なのか?次に解くべき論点は何か?
こういった事項が一目でわかる状態に、議事録を仕上げなければなりません。
そのためには、「そもそも論点とは何か?」「良い論点はどうやって設定すればよいか?」を知っておく必要があります。
そこでうってつけの本が『論点思考』です。
「論点を制すものがビジネスを制す」といっても過言ではない。
本書を読むと、冗談抜きでそう思えるはずです。
私もこの本を読んで以降、議事録の質が一段上がりました。
というか、自分で論点を設定して、自分で設定した論点に沿って議事録を書いていくようになりました。
これが、書きやすいのなんの・・・
良い議事録を素早く書きたければ、自分で論点を設定してみる。
これが一番効果のある取り組みかもしれません。
⑤「箇条書きを制する」ためのオススメ本
議事録に限らず、メールやチャットのやりとりを効率化するうえで欠かせない技術。
それが「箇条書き」です。
「たかが箇条書きごとき」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。
そう思われる方は、一度『超・箇条書き』を読んでみてください。
箇条書きを極めると、超忙しい人にも10倍速く物事を伝達できるようになります。
箇条書きの工夫次第で、コミュニケーション効率が何倍も変わる。それくらい威力大の技術です。
では、素敵な箇条書きを書けるようになるには、どんなポイントを押さえておくといいのか。
本書では「構造化」「物語化」「メッセージ化」の3ポイントが紹介されていました。
簡単にかいつまむと、次のような意味合いです。
- 「構造化」は、言葉や文章のレベル感を整えること。「自動詞と他動詞の使い分け」、「直列と並列で時間軸を整える」、「ガバニング(ポイントの数を宣言)」を意識するだけで、文の構造を大きく整理できる。
- 「物語化」は、相手の関心ポイントを仕込むこと。「イントロ」、「MECE崩し」、「固有名詞」を埋め込むことで、読み手/聞き手に当事者意識を植え付けることができる。
- 「メッセージ化」は、無難に走ることなく、自身のスタンスを明確に示すこと。「隠れ重言の排除」、「否定で退路を断つ」、「数字」によって、相手のアクションを促進できる。
「構造化」「物語化」「メッセージ化」ってどうやるの?と気になった方は、ぜひ『超・箇条書き』を一読されることをオススメします。
議事録の品質も爆上がり間違いなしです。
※書評を読みたい方は、以下の記事をご覧ください。
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【要約・書評】『超・箇条書き』杉野 幹人
この本で解ける疑問は?
続きを見る
⑥「ワードを使いこなす」ためのオススメ本
ここまで述べた5つのポイントをマスターすれば、質の高い議事録を書ける「脳みそ」は出来上がっているはず。
しかし、「議事録の見た目を整える方法」や「素早くワードを操作する方法」を知らないと、足元をすくわれかねません。
頭の中にはちゃんとした議事録の文章があるのに、ツールの使い方がわからずに苦戦するなんてもったいないですよね。
あなたの素晴らしい脳みそをフル活用するためにも、ツールの使い方は早めに習得しておきたいところ。
そんなときに助けてくれるのが、『外資系コンサルのビジネス文書作成術』です。
本書を読むと、議事録を美しくクイックに仕上げることができるようになります。
「あ、ワードって、そんな機能もあるのね」と目から鱗が落ちるはずです。
ちなみに、ワードをマスターしてしまえば、その姉妹にあたる「Googleドキュメント」も簡単に操作できるようになるはず。
ワードとGoogleドキュメントはほとんど使い勝手もショートカットキーも一緒だからです。
まずはワードを使いこなすためにも、本書を読んでみてもらえると、よいかと思います。