「PMFって何か知ってる?」
新規事業に携わる人や意識高い系の人であれば「PMF?そんなの知っているよ。プロダクト・マーケット・フィットのことっしょ?」と答えるでしょう。
しかし、
「具体的にどんな条件を満たしたらPMFしたといえるの?」
「PMFまでにやるべきこと、やる必要のないことはなに?」
と聞かれて、ズバリ回答できる人はどれくらいいるでしょうか。
大変お恥ずかしながら、私自身はPMFという言葉自体は知っていましたが、上記の質問に答えることはできませんでした。
「知ってはいる」けど「わかってはいない」状態。
これがまあ、めちゃくちゃ恥ずかしいわけでして。
しかも、友人のスタートアップを手伝いはじめたので、さすがにこの状態は不味い。
・・・てことで、本屋さんを探していたところ、↑の課題感にバッチリ当てはまる本を発見しました。
『新規事業を成功させる PMF(プロダクトマーケットフィット)の教科書』です。
『PMFの教科書』とは?
本書は、株式会社才流の代表取締役社長である栗原康太氏によって書かれた本です。
東京大学を卒業し、IT系上場企業の事業部長を経て、起業。
そんな眩しすぎるキャリアをお持ちの筆者ですが、大学のころの長期インターンでの最初の数年間は、びっくりするほど売れない「赤字社員」だったそうです。
朝から晩まで、週末もつぶして営業活動しても、一向に売れずに絶望・・・
しかし、試行錯誤するなかで、「いくら営業に力を入れても、PMFしていなければ売れるわけがない」という真実に気づき、それ以降はPMFを知り尽くすプロフェッショナルとして活躍されています。
最前線の現場で苦悩を味わったからこそ、その思いを読者に味合わせたくない。
まるで『呪術廻戦』の腸相のような愛情を感じますね。
「兄(おれ)が道を誤ったのなら弟はその道を避ければいい。兄が正道を歩んだのなら弟は後をついてくればいい」
「何故俺がしぶといのか聞いたな?教えてやる。俺には手本がない。何度も何度も間違える。それでも弟の前を歩き続けなければならん!だから俺は強いんだ!」
呪術廻戦142話より
先頭に立って失敗した経験もふくめ、我々に還元してくれる本。
それが『新規事業を成功させる PMF(プロダクトマーケットフィット)の教科書』です。
2000円以下のお金を払いさえすれば、筆者が血のにじむ思いをしてたどり着いた方法論が手に入る。
なんともお得な本でした。
そんな本書で特に学びが大きかったのは「フィットジャーニー」でした。
フィットジャーニーとは、プロダクトが市場に受け入れられて成長していくプロセスを解像度高く言語化したものです。
私なりの理解もふまえてまとめたものが以下です。
最初に「営業資料」を作っちゃえ
本書を読んで一番気になったのは「え、そんなに早く営業資料を作るの?」ということ。
サービスのプロトタイプ作成や、プロダクト開発を始める前に、営業資料を作ってしまう。このスピード感。
思い返せば、これと同じ思想の取り組みをしている企業があります。Amazonです。
Amazonは、企画書を作るタイミングで「プレスリリース」を作成するそうです。
プレスリリースといえば、商品やサービスのリリース日が決まった時に作るもの・・・と思いきや、もっともっと早いタイミングでAmazonは作っています。
営業資料を早い段階で作るのも、Amazonのプレスリリースと同じ考え方ではないでしょうか。
先に「サービスの概要」「サービスを導入するメリット・効果」「サービスの仕組み」「サービスの使い方」を営業資料として作っておく。
すると、商談で営業資料の説明をしたときに、「このサービスって、こういうときは、どういう使い方になるの?」と、個別具体的な質問を受ける。
それらの質問をもとに、サービスの設計を具体化していく。
・・・このように、営業資料を最初に作っておくメリットは「顧客の声を吸い上げられること」。
だからこそ、PMFを早期に達成するためにも、PSF(Problem Solution Fit)をさっさと済ませてしまう。
そのための実用的なツールが「営業資料」や「プレスリリース」であると、改めて思い知らされました。
他にも、
- PMFが失敗する条件
- PMFを達成するための組織体制の作り方
- PMFの具体的な測定方法
- PMFの事例14社分
これらすべてが、たったの2000円で手に入ります(正確には、1980円)。
個人的には、今年買ってよかった本ベスト10には入る一冊でした。