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問題解決のオススメ本を100冊から4冊選んでみた

ビジネスの現場では、毎日が「問題解決」の連続です。
誰もが一度は、問題解決について知ろうと、何かしらの本を探そうとされたはず。

しかしAmazonで「問題解決」と検索すると、何と10000件以上の候補がヒットします。
いったいどの本を読めばいいのやら、さっぱりわかりません。
私自身、誇張なしで100冊以上の問題解決本を読みました(半分以上は趣味で読んでいます)。

その中で、今回はとっておきの本を4冊ご紹介しましょう

そもそもの「オススメ本」の基準とは?

とはいえ、いきなり「オススメはこの4冊です」とか言われても、「なぜその4冊なのか?」と疑問に思ったはず。

そこで、まずは「オススメ本の選定基準」について認識をそろえておきましょう。
常連さんにとっては「またか」という感じかもしれませんが…大事なことなので、何度も何度も書かせていただきます。
もうご存知の方は、飛ばしていただいて構いません。

オススメ本の選定基準・・・
それは、拙著『投資としての読書』で紹介している、「わかりやすさ×深さ」のモノサシです。

わかりやすさを測るためには、以下の2点をチェックしていきます。

  • 本の内容が「体系的」に分解・整理されているか?
  • 中学生や高校生でもわかる表現で書かれているか?

一方の深さを測るためには、以下の3つのツッコミに耐えうるかをチェックします。

  • 他の本に無い「あっと驚く洞察」がなされているか?(So what?)
  • 主張の論拠は十分か?ツッコミどころが多すぎないか?(Why so?)
  • 明日からすぐ実践できるほど具体的な内容か?(How?)

これらのツッコミに耐えうる本を、今回4冊厳選してみました。

『自分の答えのつくりかた―INDEPENDENT MIND』

社会人になってからよく言われる言葉の一つ。

「自分の頭で考えてください」

しかし、どうやって自分の頭で考えればよいかを教わる機会は、それほど多くはありません。ひどい話ですよね。
そんな時に頼りになるのが本書です。

この本は「赤の国に住むピンキーという中学生の魚が、緑の国にサッカー留学しに行く物語」です。
物語の中でピンキーは
「そもそも何のために留学に行くのか?」
「留学先はどのような基準を定めて選ぶべきか?」
「言葉の通じない留学先でどう生活していけばよいか?」
・・・といった問いについて、試行錯誤しながらも答えを出していきます。
この物語を通して「自分の頭で考えるとはどういうことか?」を学ぶことができます。

よく本書の感想欄なんかを見ると「中高生にオススメ」「若手こそ読むべき」というコメントがあります・・・が、本書に書かれているような問題解決のプロセスを1つひとつ丁寧に順をおって回している方はあまりおお見かけしません。
ゆえに、ビジネスパーソン万人にオススメしたい一冊です。

『問題解決の全体観』

問題解決の本の中で、個人的に一番「読んでよかった」と思える本がこちら。
たぶんほとんどの方は、初めて見る本じゃないでしょうか。
というのも、どこを探しても、この本を置いてある書店を見かけたことがないからです。Amazonでかろうじてまだ生き残っています。

そんな存在感の薄い本書と出会ったのは「全体観」というキーワードがきっかけでした。
コンサルティングファームの新卒研修最終日に、研修の評価を告げられたときのことです。
研修の評価自体は良かったのですが、1つだけフィードバックをいただきました。
「君はすぐに部分を見てしまう。もっと全体観を見なさい」
・・・当時の私は、このフィードバックの意味をわかっていませんでした。
「全体観」なんて意識したことがなかったからです。

そこで、馬鹿正直にAmazonで「全体観」と検索したところ、『問題解決の全体観』がヒットしました。
1冊3,000円程度で、しかも上下巻がある。
普通の本よりも高価だったこともあり、他の本と何か空気感の違いを察知した私は、気づけば購入ボタンを押していました。

実際に本書を読んでみると、「今まで読んだ問題解決本は何だったのか」と言いたくなるくらい、学びの量に圧倒されました。

たしかに、巷の問題解決本を開くと、「MECE」「ロジックツリー」「フレームワーク」「仮説志向」などの思考ツールの使い方が丁寧に解説されています。
しかし、問題解決に必要な「頭の使い方」「心構え」「進め方」をすべて網羅した本は、『問題解決の全体観』シリーズくらいです。

具体的には「問題にはどんな種類があるか?」「問題を解くためにはどんなプロセスで考えればよいか」「MECE・ロジックツリー・フレームワーク・仮説志向の出番はいつなのか?」「問題解決を進めるうえでの心構え(作業と仕事の違いなど、本質的な心構えまで)は何か?」「実務で問題を解決するときは、どんな進め方をすればよいか?誰をどんな順番で説得するのか?」など、問題解決に関わる論点がすべて網羅されています。問題解決本があまり出回っていなかった2008年時点で出版された点を踏まえると、驚きを隠せません。

他にも、魅力がたくさんありすぎるのですが、とりあえず上巻だけでもいいので読んでみてください。
本代なんてあっという間に元が取れる、圧倒的な学びが手に入るはずです。

書評もございますので、よろしければ。

『完全無欠の問題解決』

世界最高峰のコンサルティングファームであるマッキンゼー社で使用されてきた社内資料が、書籍化された本。
・・・と聞いただけで、買ってしまった本。それが本書です。

というのも、世の中に出回っている問題解決本やロジカルシンキング本の名著の多くは、マッキンゼー出身者による本です。
企業参謀』『ロジカル・シンキング』『問題解決プロフェッショナル』などは、まさに私たち日本人にとって、問題解決本のバイブルといえるでしょう。
そのマッキンゼーにて「伝説の社内資料」と評されている内容が、『完全無欠の問題解決』に書き下ろされているそうです。

本書では、問題解決の7ステップが丁寧に解説されています。
中でも一番印象深かったのが「問題定義のフレームワーク」です。
以下の問いについて考えていくと、問題定義の精度が上がっていく。これには目から鱗が落ちました。

  • 意思決定者
    誰に何をしてもらう必要があるのか?
  • 取り組みを成功に導く基準
    意思決定者は、何をもって成功だと判断するのか?
  • 意思決定者に作用する主な力
    決定への懸念や問題は何か?
    相反する議題にどう対処するか?
  • 解決のための時間軸
    答えはどのくらい早く必要か?
  • 問題の境界線/制約
    触れちゃダメな聖域はあるか?
    検討されていないものは何か?
  • 求められる精度
    どのレベルの精度が必要か?

他にも、「え、こんなに生々しい企業データ、使っちゃっていいの?」と思うくらいリアルな情報が凝縮された本でもあるので、こちらもオススメの一冊です。

書評もございますので、よろしければ。

『コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法』

本書はコンサル同期からの薦めで手に取ったビジネス書です。
前半は、コンサルの新人研修で習うようなことが簡潔に書かれていました。「うん、そうだよね」と思える内容がしっかりと整理されています。
ただ後半部分に入るにつれ「あれ?これは研修でも日々の業務でも教わったことないぞ」と思う技術が紹介されていました。
・・・まあ、それも当然で、後半部分に書かれているのは、大前研一氏のようなコンサル界の傑物が有している技術が書かれていたのですから。

コンサル界の傑物や限られたビジネスパーソンしか有していない、「コンサルを超える思考技術とは何か?」がキレイに言語化されている。
それが、本書をオススメした理由です。

また、問題解決の話とは少しズレますが、本書の中で気に入っている言葉があります。
「ノマド型の生き方」という言葉です。

ノマド型の生き方は二つの意味で面白い。ひとつは、定期的に集団生活を送ることだ。集団生活を行うので、理解が深まる。自分の足跡も残る。集団の中で行動するため、周りをある種、活性化させる。

もうひとつは、そういった環境からあえて別れを選ぶところだ。次の旅に出ていって、今度は旅先で、また同じような形で新しい文化に染まっていく。

すなわち、ノマド型人生とは、自分の持っている良さを行った先に移植しつつ、自分もそこから新しい良さを吸収し、一回り大きくなって次に行く。そういう人生だ。

『コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法』p454

行った先に対して自分が持つものを学びとしてを提供し、行った先からも学びを得る。そうやっていろんな場所を点々としていくと、行った先も少しずつ良くなり、自分自身も雪だるま式に成長していく。
その時々で面白そうだと思ったところに飛び込んでみながら、飛び込んだ先と一緒に成長する、行き当たりばったりのキャリア。
これぞ、私が理想とするキャリアだなと、改めて気づかされました。

・・・話が逸れましたね。問題解決の本を紹介する記事でした。
本書のタイトル通り、コンサルを超える思考技術が惜しげもなく披露されている本ですので、間違いなくオススメできる一冊です。

書評もございますので、よろしければ。

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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