今更ながら、去年話題になった『プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる』を読んでみました。
手に取ったきっかけは、ビジネス書グランプリ2022に入賞していたから・・・何ともミーハーな理由です。
ただ、これまで手に取っていなかったのには訳がありまして。
「プロセスエコノミー」
この言葉が何だか小難しく聞こえたんですよね。
エコノミーとか書いてあるから、どうせまた経済の難しい話なんだろうなーと、避けていたわけです。
ただ、実際に手に取ってみると「経済がどう」とか「日本社会がどう」みたいな遠い話ではなく、
「いち個人として、これからどうやって稼いでいけばよいか」といった身近な話が語られていました。
プロセスエコノミーとは?
まずプロセスエコノミーとは何かというと、「完成品ではなく、制作過程を共有することでお金を稼ぐこと」です。
この対義語が「アウトプットエコノミー=完成品を売って稼ぐこと」ですね。
例えば、キングコングの西野さんは、プロセスエコノミーを上手く活用して「えんとつ町のプペル」という絵本を世に出していました。
普通の絵本であれば、絵本を売っておしまいです。
しかし、西野さんは、
- プペルの構想を世に発信して、クラウドファウンディングで資金調達
- プペルの制作過程をオンラインサロンメンバーに共有。それを目当てに、オンラインサロンに入会する人が増える
- プペルを販売する前に、たくさんのファンを獲得。販売前の告知をファンが率先してやってくれる
・・・など、絵本を販売する前の段階で、これだけの価値を生み出しています。
これが「制作過程で価値を売る」という考え方、すなわちプロセスエコノミーです。
ちなみに、本書を私なりに解釈して、ざっと整理してみたのが以下の図です。
【最大の疑問】何も持たない一般人がプロセスエコノミーを実践できるのか?
本書を読んでみて、プロセスエコノミーとはどういうことか?は理解できました。
確かに、車とかお菓子とか、あらゆるモノの品質が高くなりすぎて、完成品だけでは差がつかない状況です。
だからこそ、差がわかりにくい完成品ではなく、オリジナリティのある「制作過程」で価値を生み出す必要がある。
この理屈はよくわかります。
ただ、どうしても避けては通れない、最大の疑問があります。
それは、「何も持たない一般人がプロセスエコノミーを実践できるのか?」という問いです。
先ほどの「えんとつ町のプペル」の例は、あくまで西野さんという有名人だから実現できたわけで。
私みたいな「無の一般人」にも再現できるのか?って話なんですよ。
この疑問を解くためにも、まずは「プロセスエコノミーが成り立つ条件」を考えてみましょう。
プロセスエコノミーの成立条件は3つ
これは私の解釈ですが、プロセスエコノミーの成立条件は3つあると思います。
1つ目は、完成品の「Why=何のため?」がクリアであることです。
Whyが無いと、周囲の人はプロセスに魅力を感じず、なかなか応援者になってくれません。
あるいは、Whyがクリアでないと、応援者の期待に応えることが目的になってしまい、本来目指したい姿からかけ離れる可能性もあります。
2つ目は、完成品の品質が高いことです。
プロセスエコノミーが注目され始めたのは、完成品の品質が高くなりすぎて、完成品だけでは差がつかなくなったからです。
数十万円もするような高級洋服と、ユニクロの洋服の品質が変わらなくなってきた。
だから、プロセスで差をつけようって話です。
言い換えると、完成品の品質が高くないと、スタートラインには立てません。
3つ目は、フォロワー・応援者がいることです。
いくら完成品の品質が素晴らしくても、制作過程に参加したいと思ってくれる応援者がいないと、プロセスエコノミーは成り立ちません。
「無の一般人」がプロセスエコノミーを実践するには?
では、本題に話を戻しましょう。
先ほど述べた「プロセスエコノミーの成立条件」と照らしてみると、1つ目の「Why=何のため?」をクリアにすることは、誰でもできるかもしれません。
しかし、一般人である私たちが、いきなり完成品の品質が高い状態を実現できるでしょうか。
あるいは、一般人が、キングコングの西野さんみたいにフォロワーを獲得できるでしょうか。
・・・いきなり「完成品のレベルも高くて、フォロワーもたくさんいる状態」を作るのは、非現実的ですよね。
「何も持たない一般人」がプロセスエコノミーを実践するには、いくつかステップが必要です。
1つでもいいから、周りが「すごい」と言ってくれることを見つける
プロセスエコノミーの成立条件に「完成品の品質が高いこと」がありましたね。
なので、何か1つでいいので、高い品質の完成品を作れる必要があります。
何でも構いません。
- 卵かけご飯が人よりも美味しく作れる
- ボードゲームの解説が上手だとよく言われる
- 佐賀市の美味しいラーメン屋であれば誰よりも詳しい
本当に何でもいいので、「他の人に褒めてもらえそうな完成品はどれか?」を探します。
完成品を使って、目の前の人を喜ばせる
次に、「自分が得意な完成品」を使って、知り合いを喜ばせましょう。
例えば、私であれば「オススメのビジネス書を紹介すること」がそれなりに得意です。
なので、まずは職場の人や友人に、オススメの本を紹介するところからスタートしました。
そしたら、「この前紹介してもらった本、めっちゃ良かったわ。また教えてよ」と喜んでもらうことができました。
そうやって、ちょっとずつ周りの人に喜んでもらいながら、応援者を増やしていきます。
10人くらい応援者が見つかったら、「おれ、書評ブログ始めようと思うんだよね。よかったら読んでね」と声をかけます。
これだけで、10人のフォロワーは獲得できますよね。
読者0人でブログをスタートするのと、読者10人とでは天と地ほどモチベーションが変わります。
10人の読者に向けて、一生懸命情報を発信し続けたら、その10人の人が他の人にオススメしてくれるかもしれません。
あるいはTwitterであれば、あなたのツイートをリツイートしてくれるかもしれません。
先ほどの「えんとつ町のプペル」の事例と比べると、圧倒的に華やかさに欠けますね。
ただ、「何も持たない、無の一般人」である私たちがゼロからフォロワーを集めようとしたら、こういう地道なことをやるのが王道じゃないかなーと思います。
そうやって集めたフォロワーが50人くらいになったら、やっと「プロセスエコノミーやってみようかな」と踏み込んでみるのはアリかもしれないですね。
私であれば、「ビジネス書を選ぶ過程」とか「ビジネス書を読みながら、メモを整理する過程」なんかをコンテンツにして発信すればいいんですかね(笑)
もし需要あればやろうかと思います。