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【要約・書評】シンプルで合理的な人生設計

日本人は合理性を憎んでいると言われます。
しかし、合理的に生きることが成功法則になるとしたらどうでしょうか?
橘玲氏は幸福を3つの資本で測り、合理性を軸に人生の成功法則を説きます。
この本を読めば、あなたも現代社会における「自由」の意味と方法を理解できるようになります。

・・・ChatGPTに考えてもらったリード文、いかがでしたでしょうか。
もはやブログの執筆すら、一部AIが担ってくれるようになってきていますが、
そんな中で、我々人間は何をやっていけばいいのやら?

こんな疑問に対するヒントが欲しくて、『シンプルで合理的な人生設計』を手に取ってみました。
控え目にいって、最高の本です。

『シンプルで合理的な人生設計』とは?

本書は、「社会資本」「人的資本」「金融資本」の3つを土台に、合理的な人生設計を行う方法を教えてくれる本です。
筆者は、作家として小説・評論・投資術など幅広いジャンルの本を世に出されている、橘玲氏です。

これまでも、橘玲氏の本は何度か紹介してきましたが、いずれの本を読んでみても、グーの音も出ないくらい現実を突き付けてくる良本ばかり。

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そして、今回の『シンプルで合理的な人生設計』も非常にパンチのきいた本でして。

表紙の帯にはこう書いてあります。
「日本人は合理性を憎んでいる。だからこそ合理的に生きることが成功につながる」と。

「何事も合理的にばかり考えればいいわけではないよ」なんてセリフはよく聞きますが、結局は合理的に考えた方がトータル幸せなんだと、ド正論をかましています。

そして、合理的な人生設計に欠かせないのが、この3つの土台。
「社会資本」「人的資本」「金融資本」

順にみていきましょう。

社会資本の増やし方

社会資本とは、「絆」や共同体への帰属意識のこと。
家族や友人とのつながり、ビジネスを円滑に行うための人脈、なんかが該当します。

ただ本書によると、社会"資本"と名前がついているだけあって、人とのつながりにも「上限」があります。
というのも、時間は有限であり、人付き合いに割ける時間もまた有限だからです。
つまり、必然的に友人の数にも上限があると。

また「あなたは友人5人の平均値ルール」という有名な話がありますが、この話も本書によると、人的ネットワークを科学する世界では、割と妥当性のあるルールだといわれているそうで。

①付き合える友人の数にも上限がある
②「あなたは友人5人の平均値ルール」は本当である

この2点に鑑みると、必然的に、「平均値を下げる友人とは距離を置く」のが合理的な判断といえます。
・・・なんちゅうことを!と言いたくなりますね。
やっぱり、ただ笑って楽しく昔話をしながらお酒を飲みまくる人付き合いも大事ですからね。
そういう人付き合いは、ともすると、「あなたは友人5人の平均値ルール」からすると不合理なのかもしれませんが。
しかし、そういう「ただ笑って楽しく昔話をしながらお酒を飲みまくる時間」も楽しいわけで。

まあ、そういう不合理な判断も楽しめる余裕を持つために、ベースとして「社会資本」「人的資本」「金融資本」を最低限整えておくといいんでしょうね。
私はそのように解釈しました。

人的資本の増やし方

人的資本とは、自分の能力・知識・経験のこと。これらを労働力として労働市場に投下すると、対価を得ることができます。

人的資本は、一極集中で増やす

本書によると、人的資本は「一極集中」で増やすといいそうです。
この主張は、姿形は違えど、いろいろな本で指摘されていますよね。

例えば、先日ご紹介した『スタートアップ的人生戦略』でも、「最初はニッチな分野でのスペシャリストを目指し、(ジェネラリストになりたい人は)そのあとにジェネラリストを目指すとよい」と主張されていました。

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また、最初に高い専門性を鍛えておくと、精神衛生上もメリットがあるそうで。
本書では次のように書かれていました。

相手と意見が衝突したとき、ひとはそれに対応できるリソースが自分に備わっているかを本能的に計算する。リソースがあると感じれば、精神的にも肉体的にも準備万端の挑戦状態になる。逆に、自分の能力に対してタスクの要求が高すぎると感じると、それが暴かれるのを回避することに全神経を集中する脅威状態になるのだ。

『シンプルで合理的な人生設計』p206

特に経験が浅い時期なんかは、本書でいう「脅威状態」になりやすい。
だからこそ、早めに1つでも、周りよりも優位性のある能力なり知識を身につけておく。
すると、「精神的にも肉体的にも準備万端の挑戦状態」になれます。

私自身も、新卒でコンサルティングファームに入社したばかりのときは、毎日が「脅威状態」でした。
システムの導入プロジェクトに配属されるものの、クライアントの業界知識もなければ、システムの知識もないし、ビジネススキルもない。
だからまずは、「システムの話を、クライアントにもわかるように整理して伝えるスキル」を一点集中で鍛えました。
すると、だんだんと自分の得意領域ができてきて、周りとも肩を並べて協業できるようになって、本書でいう「挑戦状態」になれました。
もしこの当時に「システムの専門知識も身につけなきゃ。あ、プログラミングもやらなきゃ。そして、このスキルも鍛えなきゃ」と、あっちこっちに手を出していたら、いつまでたっても周りより秀でたスキルが身につかず、ずっと「脅威状態」のままだったかもしれません。

自分の持つアドバンテージを使って、オンリーワンを目指す

人的資本の活用について、もう1つ、学びが深い概念がありました。
それは「自分の持つアドバンテージを使って、オンリーワンを目指す」という考え方です。

まず、自分の持つアドバンテージを把握するところから。
私の場合は、「毎年300冊以上本を読み、400記事以上の書評を書き、しかも本の学びが1枚でわかるペライチを大量に有している点」がアドバンテージといえます。

このアドバンテージを活用して、最近はTwitterの運用にも力を入れ始めました。
具体的には、毎日2投稿、朝と夕方に、オススメの本をペライチとともに発信しています。

似たようなことをしているアカウントも見かけますが、私みたいに「毎日2投稿以上、オススメ本を、ペライチや解説つき」でツイートできる人はいません。

だからこそ、最近は波に乗ってきて、1か月で1000以上のフォロワーが増えました。
これは、私のアカウントが「高頻度×高密度でオススメ本を教えてくれる、オンリーワンのアカウント」と認知されたからです。

シンプルで合理的な人生設計』を読んで改めて、自分なりの人的資本を再認識できました。

金融資本の増やし方

金融資本の増やし方については、同氏の『臆病者のための億万長者入門』の書評でも触れたので、割愛します。

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ナヴァル・ラヴィカントの方程式とも通ずるものがある

そういえば、先日『シリコンバレー最重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』を紹介しました。
あの本では、次の方程式が紹介されていました。

幸福=よい人間関係+健康+富

この方程式と、橘玲氏の「社会資本」「人的資本」「金融資本」の話を照らし合わせると、多くの部分が共通しています。

  • 橘玲氏の「社会資本」=ナヴァル氏の「よい人間関係」
  • 橘玲氏の「人的資本」=ナヴァル氏の「健康」と「収入=説明責任+レバレッジ+特殊知識」
  • 橘玲氏の「金融資本」=ナヴァル氏の「富(のうち、特に資産×投資収益率の話)」

両氏の本を読むことで、より「幸福になるためのロジック」が強固になりました。
良書との出会いに感謝。

  • この記事を書いた人

Yusuke Motoyama

外資系コンサルティング会社を経て、経営大学院に勤務。年間300冊読むなかで、絶対にオススメできる本だけを厳選して紹介します。著書『投資としての読書』。 Books&Apps(https://blog.tinect.jp/)にもたまに寄稿しています。Amazonアソシエイトプログラム参加中。 執筆など仕事のご依頼は、問い合わせフォームにてご連絡ください。

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