- 「助けてほしい」と言えるようになりたい
- 「助けてほしい」と言ったときに、相手に気持ちよく動いてもらいたい
こう考えている人に最もオススメしたい本、それが『人に頼む技術』です。
『人に頼む技術』とは?
著者は、社会心理学者でもあり、コロンビア大学ビジネススクール・モチベーションサイエンスセンター副所長のハイディ・グラント氏です。
『やり抜く人の9つの習慣』などを執筆されたベストセラー作家ですね。
その筆者が科学的に導いた「人にものを頼む技術」が凝縮されているのが本書です。
読んでいくと、1つひとつのメソッドが、著者の経験談というよりは、数々の調査結果や事例によって裏付けされていました。
しかも、どの事例も「あ、それ、あるある」と頷きが止まらないものばかり。ユーモアに富んだ事例も多いので、サクサク読み進めていける本です。
良い頼み方と悪い頼み方がある
本書の一番学んだことは「良い頼み方と悪い頼み方」です。
経験則で「こう頼まれたらいやだなー」とか「こう頼んでおけばよかったなー」と思うシーンはありますが、それらを科学的に導きだしているのが本書の醍醐味ですよね。
せっかくなので、学びを1枚にまとめてみました。
悪い頼み方
頼むときに、共感に頼りすぎる
「これ本当に大変なんだよ。だから手伝ってくれよ」と共感を求める過ぎると逆効果。
これはしっくりきますよね。
単純に「そんなに大変なんだったら、手伝いたくないよ」って思いますもん。
頼むときに、やたらと謝る
「本当にお手を煩わせて申し訳ないんですけど、こちらお願いできますか?」的な依頼の仕方ですね。
これ、私はやっちゃいがちです。
でも、言われたほうがからすると、ちょっと他人行儀に感じますよね。
例えば、普段ため口で話すような仲の人から「大変恐縮ですが、こちらお願いできますか?」なんて連絡が来たら、よそよそしいなーって思います。
今の例は極端でしたが、少なからず「へりくだりすぎる頼み方」には注意が必要ですね。
頼むときに、言い訳する
「本当はお願いするつもりなかったんだけど…」「お願いするのがギリギリになってしまったんだけど…」みたいな言い訳を添えて、依頼する。
これもやっちゃダメらしいですよ。
確かに、「本当はお願いするつもりなかったんだけど…」って言われたら、「じゃあ、お願いしてくるなよ」って思いますもんね。
「お願いするのがギリギリになってしまったんだけど…」って言われたら、「いや、ギリギリにならないよう気をつけろよ」としか思いませんし。
頼むときに、言い訳は添えない。
シュートには、左手を添える。
これも大事な気づきですね。
頼むときに、メリットを強調する
「この仕事をやると、こんなに楽しいよ、こんなに意義があるよ」と強調する。
これ、やっちゃダメなんですって。
よく「仕事を頼むときは、動機づけしなさい」なんて言いますけど、仕事のメリットを強調しすぎると、かえって逆効果になってしまうとのこと。
確かに、「この仕事をやると、こんな意義があるよ」って言われても、響かないとき、ありますよね。
ちなみに僕自身も、仕事の意義をいくら説かれても、「うん、じゃあその仕事やります」とは1mmも思わないタイプです。
「その仕事に意義があるかどうか」はあくまで、僕が決めることだ。仕事を頼むあなたが決めることではない。
・・・と思っちゃうんですよ。
「仕事にどんなメリットがあるかは、相手が決める」
こんな意識を持ちながら仕事を頼むことが大切です。
頼むときに、頼み事が些細なものだと強調する
これは絶対いやですよね。
私も言われたことがあります。
「本山さんだったら10分くらいで終わると思うから、やっておいて」と。
まず、10分程度で終わる頼み事を頼まれた時点で萎えますよね。「いやいや、そんくらい自分でやれよ。なんでおれに頼むんだよ」といます。
それに「本山さんだったら10分で終わるってなんだよ?終わんなかったら、期待に沿ってないってこと?変な期待値設定してくるんじゃねーよ」とも思いますね。
いろんな意味で、この頼み方はアウトです。
頼むときに、借りを思い出させる
「あのとき〇〇やったから、今回は△△やってくれないかな?」という頼み方、これもよくないみたいですね。
理由は「頼まれた側が、コントロールされている感を感じるため」です。
確かに、コントロールされている感はありますよね。
あと、シンプルに、この頼み方をされると「器がちっちぇーな」と思っちゃいます。
「借りがある」みたいな発想を持たない、器の広い人間になりたいものです。
頼んだあとに、助けられた側のメリットを強調する
「あなたが〇〇をやってくれたおかげで、私はこんなに助かったよ」
このお礼の言い方、実は注意が必要みたいです。
さらっと伝える分はいいんですが、「助けられた側の話」を盛り込みすぎると、逆効果になってしまうとのこと。
確かに、助けた側からすると、「あなたの話もいいけど、もっと褒めてほしい」と思いますもんね。
ものを頼むときの主役は、頼む側ではなく「頼まれる側」である。
この点をちゃんと理解しておく必要があります。
良い頼み方
頼むときに、仲間意識を持たせる
同じことを頼まれる場合、赤の他人の頼み事、知り合いからの頼み事、どちらのほうが受け入れやすいですか?
言うまでもなく、知り合いからの頼み事のほうが、受け入れやすいですよね。(知り合いだけど嫌いな人は、その限りではありませんが)
したがって、ものを頼むときは、「いかに仲間意識を持たせるか」が大切になってきます。
私も本書を読んで以降、仲間意識を持ってもらうことに苦心しています。
- あえて雑談の機会を設け、共通の話題を無理やりにでも作り出す
- 「一緒に」というワーディングを随所に盛り込む
- 一緒に業務をやる機会を作る
などなど、「私は外側ではなく内側の人間ですよ感」を何としてでも演出する。
…的な工夫をするようになってから、以前よりもスムーズに物事を進行できるようになりました。
頼むときに、自尊心を刺激する
私の理解だと、ここでいう「自尊心を刺激する」というのは、次の意味だと考えています。
「他でもなく、あなただからこそお願いをしているんだ」というメッセージを全力で伝えること。
これですね。これこそが、相手の自尊心を刺激するメッセージです。
私も、誰かに物事を依頼するときは、依頼内容そのものよりも「なぜ、あなたに依頼するのか」を考えるのに時間を費やすようになりました。
頼んだ相手に「あ、だから私に頼んだのね。私が適任ね」と思ってもらう。
その努力を惜しまなくなった結果、これまた以前よりもスムーズに協業ができるようになりました。
頼むときに、有効性を強調する
「助けてもらうことで、どんな影響があるか」を伝える。
これが、有効性を強調するということです。
私はこれ、ぶっちゃけまだ上手く使いこなせないでいます。
というのも、使い方をしくじると、先に述べた「頼んだあとに、助けられた側のメリットを強調する」「頼むときに、メリットを強調する」の教えと矛盾する可能性があるからです。
いまいち「助けてもらうことの有効性」と「助けてもらうことのメリット」の線引きができないんですよね。
この線引きができていない状態で、「助けてもらうことの有効性」を伝えると、逆効果になりそうで危険だなと。
なので、この点はもう少し深堀して、自分の中で腹落ちさせてから使ってみようかと思います。
以上、『人に頼む技術』を紹介しました。
繰り返しになりますが、
- 「助けてほしい」と言えるようになりたい
- 「助けてほしい」と言ったときに、相手に気持ちよく動いてもらいたい
そう思っている人には、一番オススメしたい一冊です。