自己分析本とかキャリア本を大量に読み漁って、「やりたいこと探し」に没頭している方に朗報です。
やりたいこと、見つけなくて大丈夫です。
今すぐその手に持っている本を閉じて、代わりにこの本を読んでみてください。
『物語思考』です。
自分を「物語の主人公」として客体化すると、びっくりするくらい、人生が充実する。
そんな方法論が書かれています。
「やりたいこと探し」をされている方であればあるほど、
「え、それでいいの?でも、納得感しかないや」と思うはず。
『物語思考』とは?
本書は、エンジェル投資家でもあり、アル株式会社の代表取締役でもある、古川健介氏によって書かれた本です。
・・・と紹介するよりも、X(Twitter)で有名な「けんすうさんの本」と表現したほうが、ご存知の方も多いかもしれません。
本日から、僕の著書の「物語思考」が発売になります。
- やりたいことなんて見つからないよね
- 過去の積み重ねが今の自分という考えは捨てていいよね
- 自分を大事にするんじゃなくて客観的に見れるほうがいいよね… pic.twitter.com/IFqMSR1M80— けんすう/『物語思考』9月6日発売 (@kensuu) September 5, 2023
まず、本書の帯を読んでびっくり。
「やりたいことなんて見つけるな!」と書いてあります。
学校やら就活で「夢は何だ?やりたいことはなんだ?」と問われ続けた身としては、
やりたいことを見つけるのが当たり前だと思ってたもんで、この帯には目から鱗です。
そんな本書は、まさに「やりたいこと探し」の無間地獄に苦しんでいる人を対象としてます。
本書はそういう「やりたいことを見つけろと言われても、見つけ方がわからない」という人や「行動しろと言われてもできない」という人を対象としています。
どうやればいいかわからない人への「マニュアル本」であり、身も蓋もなく「やり方」を提供する本です。
『物語思考』p5より
やりたいことが見つからない人にとってのマニュアル本。
実際に読んでみましたが、本当にマニュアルでした。
誰が読んでも、再現性高く行動できるよう、順を踏んで、わかりやすく(かつおもしろく)語られています。
学びが多すぎたので、自分用にペライチでメモをまとめてみました。
- 物語思考とは、自分を主人公にして「物語を進める」ように人生を生きること
- 物語思考は5つのステップで成り立つ。①頭の枷を取る、②なりたいキャラを設定する、③キャラを動かす、④キャラが活きる環境を作る、⑤物語を転がす。
- ①頭の枷を取る
- まずは「10年後なりたい状態」を100個書く
- 実現のイメージがギリギリ湧くレベルの理想像を考える
- なりたい状態を「現実だと勘違いするくらいの解像度」で考える
- ②なりたいキャラを設定する
- なりたい状態に近づくために「一番効率的なキャラは何か」を考える
- キャラ=求めるもの(やりたいこと)+行動+障壁+選択
- ③キャラを動かす
- 自分が描いたキャラが「取りそうな行動」をリストアップする。シーンと行動をセットでリスト化するとよい
- 自分の普段のキャラと違うことをする→上手くいく→キャラが変わる…もあり
- ④キャラが活きる環境を作る
- 自分が描いたキャラどおりに過ごせそうな環境を選ぶ。なりたい状態の人がいるコミュニティに飛び込む
- 環境を変える=周りにいる人を変える
- ⑤物語を転がす
- 物語的に自分を客観視し、読者目線で面白いと思えるように生きていく
- 「失敗するかもしれないけど、やってみる」仕掛けを作っておく
自分なりにざっと整理すると、こんなことが書かれていました。
自分を物語の主人公に見立て、その物語を進めるように人生を過ごしていく。
「あ、ここで、こういう行動を取ると、物語が盛り上がりそう」
「失敗しても、それはそれで、物語が面白くなりそう」
・・・と、自分から幽体離脱したような感覚で、人生を生きていく。
この考え方に沿うと、パワハラされようが、ミスしようが、精神的に負うダメージも最小化できそうです。
しかも、「物語を面白くしたい」という行動原理で、いろいろと挑戦してみたら、「気づいたら、やりたいこと見つかってたわ」みたいな状態にもなっていそうだなと。
そんな感想を抱きました。
仕事なんて、しょせんネタづくり
「仕事なんて、しょせんネタづくり」
私は仕事をこのように捉えています。
あくまで趣味であり楽しみなのは、ブログを書いたり、原稿を書いたりする、コンテンツづくり。
日常の仕事の場は、失敗して怒られようが、成功して褒められようが、「コンテンツをつくるための、ネタ集めの場」だと思うようにしています。
「なんだよ、このクソみたいな依頼の仕方」と思うような出来事があれば、そういうのもネタにして、ブログの記事にします。
クソみたいな依頼があったときに、いちいち真に受けてイライラしてたら、
ミスしたり怒られたりするたびに「自分はなんてダメな人間なんだ」と思ってたら、精神が持ちません。
「またブログに書くネタが増えた」くらいに捉えるのがちょうどいいなと。
ちなみに「仕事なんてネタづくり」と割り切るようになったのには、理由があります。
社会人を「外資系コンサル」としてスタートさせた私は、コンサルのイメージどおり、ガムシャラに働きました。
成果物をボコボコにされては、反骨精神で修正を重ね、それなりに高い評価をもらいました。
そのときは、自分が人格ごと全て認められたような、承認欲求が毛穴の奥底から満たされる感覚を覚えました。
溢れ出る全能感が脳内にキマって、めちゃんこ気持ちよかったです。
それで、同期内で最速昇格して調子に乗っていた矢先、新しいプロジェクトで全く成果を出せず。
長時間PCに向き合っている割に、仕事の前進感・手ごたえが全然得られない。
そのときは、自分が人格ごと全て否定されたような、承認欲求が毛穴の奥底から乾ききる感覚を覚えました。
無能感が脳全体に染みわたって、吐くくらい気持ち悪かったです。
このときに気づきました。
あまりにも、仕事の出来・不出来を「自分事」にしすぎていたと。
「自分事」として捉えすぎると、成功したときは、達成感が脳内麻薬みたいにキマりまくるんですが、
失敗したときの副作用は、平気で人の心を破壊する威力を持っているなと。
であれば、自分の身に起こることを「他人事」として捉えたほうが、物事が成功しようが失敗しようが、トータル人生を楽しめるなと。
成功すれば素直に喜べばいいし、失敗してもそれの経験はネタにすればいい。
そんな思考回路を経て、「仕事なんてネタづくり」と割り切るようになりました。
今回のけんすうさんの『物語思考』は、自分を主人公にして「物語を進める」ように人生を生きる、という考え方。
自分を主人公にして物語を作っていく行為は、自分の身に起きる出来事を「他人事」として捉えなおす行為そのものです。
この「他人事」というキーワードが、人生を無理なくほどほどに楽しみ続けるカギなんだろうなと、本書を読んで改めて気づかされました。