ここ数年、出版するたびにAmazonランキング1位に君臨されている人物がいます。
皆さんはお気づきでしょうか?
そう、「考えるエンジン講座」代表の高松 智史さんです。
例えば、2/1に出版された『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト』はAmazon総合1位。出版されて10日で、Amazonレビュー120以上。
・・・もう異常値ですよね。
いったいなぜ、こうも異常なほど人気なのか。
今回は高松さんの本(タカマツボン)の魅力を5冊分まとめてみました。
1冊目『変える技術、考える技術』
タカマツボンを5冊読んでみて、書評も書いて、わかったことがあります。
タカマツボンの魅力=プラクティカル×コミカル
この掛け算が、人気の正体じゃないかと。
特に、プラクティカルでコミカルな要素が凝縮されているのが『変える技術、考える技術』です。
(ちなみに私は、5冊のなかでもこの本が一番好き)
例えば、本書の1ページ目を読んでみると「イライラしたときは、”イ”を”ム”に変えてみよう。ムラムラしてくるだろ?」と書かれています。
たったの1行なのですが、これを試すだけでアンガーマネジメントが7割くらいの精度でできてしまう。
しかも、試してみようと思えるよう、面白おかしく表現されている。
まさに「プラクティカルでコミカル」な本です。
ここで、もう少し「プラクティカル×コミカル」の中身を掘ってみたいなと。
プラクティカルとは、枝葉のハウツーではなく、本質的なコツのこと
まず「プラクティカル」について。
タカマツボンを読むと、「プラクティカル」というキーワードが頻繁に登場します。
おそらく、筆者が意図的に(あるいは無意識的に)使っている、大事なエッセンスが詰まった言葉なのでしょう。
私なりに「プラクティカル」の意味を考えてみたところ、
プラクティカルとは、枝葉のハウツーではなく、本質的なコツのこと
なんじゃないかと。
では、「コツ」とは何なのか?
私が知る限り、「コツ」について最も的を射た説明をしている本があるので、紹介させてください。
本書では、「コツ」について「跳び箱」を例に解説をしています。
ふつうの先生だと、たとえば「助走スピードが足りないから飛べないんだ。もっと遠く勢いをつけて走ってこい」とか「踏み切る位置はここだ、ここ!」などと、必要なポイントを一つひとつ挙げて教えるだろう。そして、その子ができないポイントを飛ぶごとに指摘しながら、ともかく何度か繰り返しやらせて飛べるようになるのを待つのが常だ。
(中略)
やはり、跳び箱をうまく飛べるようになるのにも、それなりのコツがあった。
答えは、まず両腕で体重を支える感覚を覚えさせる、これに尽きるというのだ。
だから、何度も何度も実際に跳び箱を飛ばせる必要はない。一回やらせてみて飛べなかった子には、たとえば床の上で体重を支える感覚を教える。具体的には、床に座らせ、両脚のあいだに両手をつかせて、両腕で身体をちょっと浮かせてみろ、といえばいい。
『もっと早く、もっと楽しく、仕事の成果をあげる法』
つまり、跳び箱を飛ぶ方法として「助走スピードを速く」とか「踏切の位置を気を付ける」とか「手を置く位置を気にする」とか、
よく授業中で言われるアドバイスはいずれも「コツ」ではない、ということ。
「両腕で体重を支える感覚を覚える」
これが跳び箱の「コツ」である。
そのように本書では述べられています。
私なりに言語化すると「コツ=ここさえ押さえておけば30点から70点に上がるようなポイント」、そんな定義です。
タカマツボン、特に『変える技術、考える技術』では、この「たった一つの改善で30点から70点取れる方法」が語られている。
・・・ここが本書の一番の魅力だと考えます。
より詳しい解説は、Books&Appsに寄稿している以下の記事をご覧ください。
【書評】たった一つの改善で30点から70点取れるようになる『変える技術、考える技術』が素晴らしい。
スラスラ読めて、頭にへばりつく「コミカルさ」
もう1つの魅力は「コミカルさ」。
「論点バカとTASKバカ」
「ポンコツの誤解‐フレームワーク、MECE、因数分解、ロジック」
などなど、ワーディングとストーリー、どれ1つとっても、面白おかしく表現されています。
例えば、今年の正月はNetflixで「今際の国のアリス」が面白すぎて一気見しちゃったんですが、
あれと同じくらい、タカマツボンって一気読みできちゃうんですよね。(とにかく面白いってことを伝えたい)
そして「論点バカ」とか「愛と想像力」とか、1つひとつのキーワードがちゃんと頭にへばりつくよう、工夫が凝らしてある。
・・・ここもまた、タカマツボンシリーズがバカ売れしている秘密の1つでしょう。
以上述べてきた「プラクティカル×コミカル」の魅力が一番わかりやすく詰まっているのが、1冊目『変える技術、考える技術』でございます。
2冊目『フェルミ推定の技術』、3冊目『「フェルミ推定」から始まる問題解決の技術』
続いての本が、フェルミ推定シリーズのこの2冊。
『フェルミ推定の技術』と『「フェルミ推定」から始まる問題解決の技術』です。
前者が基本編、後者が応用編のような位置づけですね。
この2冊を読んで一番痛感させられたのは、「うわ。フェルミ推定はロジカルシンキングを越えた至高のツールだ」ということ。
こう書くと
「いやいや、フェルミ推定って、コンサルの面接で使うやつでしょ?実務で使えるのかよw」
「フェルミ推定って、頭いい人たちの高貴な遊びでしょ。マンホールとか電柱の数なんて計算しちゃってさ。ググればええやん」
と思った方も、何名かいらっしゃるかもしれません。
しかし、そう思っている人にこそ、まずはぜひ『フェルミ推定の技術』を読んでほしい。
騙されたと思って、立ち読みでも構わないので「はじめに」と「第1章」だけパラパラと読んでみてほしい。
気づいたら「フェルミ推定って、ロジカルシンキングよりやべーぞ」とつぶやきながら、レジに並んでいるはずです。
では、フェルミ推定がなんでそんなにヤバいのか?
それは、問題解決のエッセンスが凝縮されているツールだからです。
本書によると「フェルミ推定とは、答えのないゲームである」と定義されています。
まだ誰もやったことのない新規事業の計画を立案するとき。
ITシステム導入にあたって業務削減効果を見積もるとき。
株や投資信託を買って資産運用のシミュレーションをするとき。
これらはいずれも「答えのないゲーム」です。
では、「答えのないゲーム」をどうやって攻略すればよいのか?
・・・攻略のカギは「フェルミ推定=因数分解+値+話し方」、この方程式にあります。
ざっとかいつまむと
- 因数分解は、「現実(ビジネスモデルや社会)の投影」でなければならない
- 因数分解は、「気持ち悪さドリブン」で考える
- 値を置くときは、何度も「勘かな?」と口ずさむ
- プロセスがセクシー=そのセクシーなプロセスから出てきた答えもセクシー。だから、値よりも解き方を相手に伝える
…など、フェルミ推定を「机上の空論」から「地に足がついた、ロジカルシンキングの上位互換」へと進化させる極意が詰まっています。
「フェルミ推定=因数分解+値+話し方」
この方程式の使い方をマスターできるのが『フェルミ推定の技術』。
そして、この方程式を使って、実際にどうやって問題を解決していけばよいのか?を語っているのが『「フェルミ推定」から始まる問題解決の技術』。
高校数学でいう「黄色チャート」と「青チャート」なんかを意識されているのかな?と妄想を膨らませましたが、
あのチャート2冊と同じくらい、いやそれ以上に、『フェルミ推定の技術』と『「フェルミ推定」から始まる問題解決の技術』はセットで解くべき2冊です。
※より詳しい書評は、以下をご覧ください。
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【要約・書評】『フェルミ推定の技術』はマジでロジカルシンキングを超えていた
以前、Books&Appsさんへの寄稿記事で、神本『変える技術、考える技術』をご紹介しました。 【書評】たった一つの改善で30点から70点取れるようになる『変える技術、考える技術』が素晴らしい ...
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4冊目『「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術』
この『「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術』もまた、パンチがきいた素晴らしい本です。
1冊目の『変える技術、考える技術』の第7章が「ファクトではなく「示唆(SO‐WHAT)」」なのですが、この章を読んだときに、多くの読者が次のように感じたはずです。
「ファクトよりも示唆が大事。わかる。会社でも"示唆を出せ"って言われるし。でも、どうやって示唆を出せばよいかがわからないんだ。あぁぁ」と。
でも、このモヤモヤ感、実は4冊目への伏線だったのです。
4冊目『「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術』は、とにかく「示唆の出し方」に振り切って書かれています。
約300ページすべてにわたって「示唆」について書いてある本なんて見たことありますか?
まさに「今まであったようで、なかったような本」が本書なのです。
特に痛烈な学びだったのがこれ。
「対比」のない「示唆」はただのゴミ。
良い示唆は、ファクトとファクトの対比、ファクトと常識の対比によって生まれる、ということ。
対比によって示唆を生み出す。この点について、筆者は「桃太郎」を例にとって説明してくれます。
例えば、確認できたファクトが「桃太郎は、猿・雉・犬を仲間にした」だとしましょう。
このファクトと何を対比させるか?ここは、知恵の絞りどころ。
ちなみに本書では「鬼を倒すのだから、犬よりライオン、雉より鷲、猿よりゴリラを仲間に加えたほうが、勝率が高い」という常識を対比させています。
「鬼を倒すのだから、犬よりライオン、雉より鷲、猿よりゴリラを仲間に加えたほうが、勝率が高い」
にもかかわらず
「桃太郎は、猿・雉・犬を仲間にした」
・・・この対比から生まれる示唆は何か?
「チームを作るうえでは、リーダーよりも弱くて使いやすい人を選んだほうがいいのでは」という示唆が生まれます。
パッと読んだ感じ、「え?」と思う示唆です。
しかし「もしかすると、そうかも」と思える示唆でもあります。
このような「パッと見たら謎だけど、もしかすると正しそう」だと思える解釈。これこそが、良い示唆なんだと本書から教わりました。
※詳しくは以下の書評に綴っていますので、ご覧ください。
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【要約・書評】「答えのないゲーム」を楽しむ 思考技術
「自分の頭で考えなさい」 こう言われて悩んでいる人に、心からオススメしたい本が2冊あります。 1冊目は『知的複眼思考法』。 20年以上前の本ですが、「あらゆる立場から問いを投げかける技術」を骨の髄まで ...
続きを見る
他にも、炎上を回避し、議論を健やかにする思考技術「B〇条件」なる必殺技も紹介されています。
こちらについては、サラタメさんが最近出された動画をご覧になるほうが、イメージがつくかと思います。
いずれにせよ、どれも「一撃で仕事を変えてくれる思考技術」ですので、ぜひこちらも読んでみてください。超オススメです。
5冊目『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト』
冒頭でも述べた、Amazon総合ランキング1位本がこちら。
『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト』です。
本書には、104の濃い技術が詰まっております。
それこそ、1つひとつがプラクティカルかつコミカルで、読み応え抜群です。
しかし、一番印象に残った技術を1つあえて選ぶとすると「議事録進化論」のところ。
この議事録進化論には、本書で語られている「たかが構造化vsされど構造化」「TASKバカより論点バカ」などの技術が凝縮されております。
議事録進化論はLv1~7まであります。
その議事録進化論の魅力と、感化されて私が勝手に作った「読書メモ進化論」について、
6000字以上つかって書いている記事があるので、よろしければ↓をご覧ください。
『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト』の魅力が痛いほど伝わるはずです。
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【要約・書評】コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト
「コンサルの3年間は、事業会社の10年間に匹敵する」 それくらいの濃さがあるコンサルの世界。 この世界に入りたてのころは、一挙手一投足について、膨大なフィードバックをもらうことになります。 「結論から ...
続きを見る
以上、タカマツ本の魅力を5冊分語りつくしてみました。
著者にフォーカスしてここまで語りつくしたのは、北野唯我さん以来でしょうか。
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【圧倒的オススメ】北野唯我氏の「ロジエモ5冊」完全解説
Table of Contents Toggle はじめに『転職の思考法』『天才を殺す凡人』『分断を生むエジソン』『OPENNESS(オープネス)』『これからの生き方。』これら5冊から透けて見える「北 ...
続きを見る
推しの著者に出会えたときの、読書の加速っぷりはすごいです。本当に、時間を気にせず何冊でもいけちゃいます。
そしてそのぶん、大量の学びのシャワーを浴びることができます。
こうやって「推しの著者が見つからないかな?」という視点で本を読んでいくのも、一つの読書の楽しみであります。